銀行融資は、低金利で大きな金額を調達できる魅力的な資金調達方法です。しかし、審査が厳しいことでも知られており、「何を見られるのかわからない」「審査に通るか不安」という経営者も多いのではないでしょうか。
本記事では、銀行融資の審査で見られる5つのポイント、審査に通りやすい企業・落ちやすい企業の特徴、そして通過率を上げるための具体的な対策を解説します。
銀行融資の審査で見られる5つのポイント
銀行は融資の可否を判断する際、主に以下の5つのポイントを総合的に評価します。
1. 財務状況(決算書の内容)
銀行融資の審査で最も重視されるのが、決算書に表れる財務状況です。過去3期分の決算書を提出し、以下の点を細かくチェックされます。
貸借対照表(B/S)で見られるポイント
- 自己資本比率(純資産÷総資産):20%以上が目安
- 流動比率(流動資産÷流動負債):120%以上が望ましい
- 債務超過になっていないか
- 役員貸付金・仮払金などの不透明な科目がないか
損益計算書(P/L)で見られるポイント
- 売上高の推移:増加傾向か、減少傾向か
- 営業利益:本業で利益が出ているか
- 経常利益:継続的に黒字を維持しているか
- 当期純利益:最終的な利益はプラスか
ポイント:3期連続で黒字を維持していると、審査では有利に働きます。赤字がある場合でも、改善傾向にあれば説明次第で通る可能性があります。
2. 事業の将来性・収益性
銀行は「融資したお金が事業成長に活かされ、きちんと返済されるか」を見ています。そのため、過去の実績だけでなく、事業の将来性も重要な審査項目です。
具体的には以下の点が評価されます。
- 事業内容の安定性・成長性
- 業界の動向・市場環境
- 競合との差別化ポイント
- 今後の事業計画の実現可能性
事業計画書を提出する場合は、楽観的すぎる計画ではなく、根拠のある現実的な計画を示すことが重要です。
3. 返済能力(キャッシュフロー)
融資した資金を返済できるだけのキャッシュフローがあるかどうかも、重要な審査ポイントです。
返済原資の考え方
銀行が見る返済原資は、一般的に「税引後利益+減価償却費」で計算されます。この金額が年間返済額を上回っていれば、返済能力があると判断されます。
【例】返済能力の計算
税引後利益:500万円
減価償却費:200万円
返済原資:700万円/年
希望借入額:3,000万円(5年返済)
年間返済額:600万円
→ 返済原資700万円 > 年間返済額600万円 → 返済能力あり
4. 経営者の資質・信用情報
中小企業の融資では、経営者個人の資質や信用も審査対象となります。
経営者について見られるポイント
- 経営経験・業界経験
- 経営に対する姿勢・ビジョン
- 面談時の受け答え・誠実さ
- 過去の借入・返済履歴
- 個人の信用情報(延滞・債務整理の有無)
特に、経営者個人が過去にローンやクレジットカードで延滞した履歴があると、審査に悪影響を及ぼす可能性があります。
5. 担保・保証の有無
担保や保証人の有無も、審査の重要な要素です。
担保の種類
- 不動産担保:土地・建物を担保に設定
- 動産担保:機械設備・在庫などを担保に設定
- 売掛金担保:売掛債権を担保に設定
保証の種類
- 経営者保証:経営者個人が連帯保証人になる
- 信用保証協会保証:信用保証協会が保証人になる
- 第三者保証:経営者以外の第三者が保証人になる(現在は原則廃止)
ポイント:近年は「経営者保証に関するガイドライン」により、一定の条件を満たせば経営者保証なしで融資を受けられるケースも増えています。
銀行融資の審査に通りやすい企業の特徴
審査に通りやすい企業には、いくつかの共通点があります。
黒字経営が継続している
3期連続で黒字を維持している企業は、審査で有利です。特に、売上・利益が右肩上がりで推移していれば、さらに評価が高まります。
自己資本比率が高い
自己資本比率が20%以上あると、財務基盤が安定していると評価されます。30%を超えていれば、かなり良好な水準です。
既存借入の返済実績がある
過去に銀行から融資を受け、問題なく返済した実績があると、信用力が高まります。「この会社は約束を守る」という実績が、次の融資審査でプラスに働きます。
メインバンクとの関係が良好
日頃から銀行とコミュニケーションを取り、決算報告や事業計画の共有を行っている企業は、いざという時に融資を受けやすくなります。
担保・保証を提供できる
不動産などの担保を提供できる場合や、信用保証協会の保証を利用できる場合は、審査のハードルが下がります。
銀行融資の審査に落ちやすいケース
逆に、以下のようなケースでは審査に通りにくくなります。
赤字決算・債務超過
2期以上連続で赤字が続いている場合や、債務超過(純資産がマイナス)の状態では、審査は非常に厳しくなります。
- 2期連続赤字:融資は困難
- 3期連続赤字:ほぼ不可能
- 債務超過:原則として融資不可
税金・社会保険料の滞納
税金や社会保険料を滞納していると、銀行融資はほぼ不可能です。滞納がある場合は、まず滞納を解消することが先決です。
🚫 重要
税金滞納は銀行融資において最も致命的な要因の一つです。滞納がある状態での申込は避け、完納してから申し込みましょう。
過去の延滞履歴
過去に借入金やローンの返済を延滞した履歴があると、信用情報に記録が残り、審査に悪影響を与えます。信用情報の記録は5〜10年程度残ります。
資金使途が不明確
「とりあえずお金が必要」「運転資金として」といった曖昧な説明では、審査に通りにくくなります。具体的に何にいくら使うのかを明確にする必要があります。
事業年数が短い
創業から2年未満の企業は、銀行融資の審査が厳しくなります。決算書の実績が少ないため、判断材料が不足するからです。
審査通過率を上げる3つの対策
1. 事業計画書を作り込む
事業計画書は、銀行に「この会社には融資する価値がある」と納得してもらうための重要な書類です。
事業計画書に含めるべき内容
- 事業概要・会社の強み
- 市場環境・競合分析
- 今後3〜5年の売上・利益計画
- 計画の根拠となる施策
- 資金使途と返済計画
数字の根拠を明確にし、楽観的すぎない現実的な計画を作成しましょう。
2. 資金繰り表を提出する
資金繰り表は、毎月の現金の入出金を予測した表です。これを提出することで、返済能力があることを具体的に示せます。
銀行は「借りたお金をどう返すのか」を重視しています。資金繰り表で返済後もキャッシュフローに余裕があることを示せれば、審査担当者の安心感につながります。
3. メインバンクとの関係を築く
日頃からメインバンクとコミュニケーションを取っておくことが、審査通過の近道です。
銀行との関係構築のポイント
- 決算報告を毎年行う
- 事業計画や経営課題を共有する
- 担当者と定期的に面談する
- 口座の入出金を活発に行う
「困った時だけ相談に来る」のではなく、普段から関係を築いておくことで、いざという時に融資を受けやすくなります。
銀行融資が難しい場合の代替手段
銀行融資の審査が難しい場合でも、他の資金調達方法を検討できます。
日本政策金融公庫
政府系金融機関である日本政策金融公庫は、民間銀行よりも審査基準が柔軟です。特に創業融資やセーフティネット貸付など、中小企業・個人事業主向けの制度が充実しています。
信用保証協会付き融資
信用保証協会が保証人になることで、銀行融資を受けやすくする制度です。保証料がかかりますが、担保や保証人がなくても融資を受けられる可能性が高まります。
ビジネスローン
ノンバンク系のビジネスローンは、銀行融資より審査が柔軟で、即日〜数日で結果が出ます。金利は高めですが、急ぎで資金が必要な場合の選択肢となります。
ファクタリング
売掛金がある場合は、ファクタリングで即日資金化できます。借入ではなく売掛金の売却なので、赤字決算や税金滞納があっても利用できる可能性があります。
| 代替手段 |
特徴 |
こんな方におすすめ |
| 日本政策金融公庫 |
低金利・創業融資に強い |
創業間もない方、実績が少ない方 |
| 信用保証協会付き融資 |
保証協会が保証・担保不要 |
担保がない方、初めての融資の方 |
| ビジネスローン |
審査が柔軟・即日対応可 |
急ぎで資金が必要な方 |
| ファクタリング |
売掛金を即日資金化 |
赤字・税金滞納がある方 |
よくある質問(FAQ)
銀行融資の審査期間はどのくらいですか?
一般的に2週間〜1ヶ月程度です。信用保証協会付き融資の場合は、保証審査も含めて1ヶ月〜1ヶ月半かかることもあります。急ぎの場合は、早めに相談を始めましょう。
赤字でも銀行融資は受けられますか?
1期だけの赤字であれば、原因と改善見込みを説明することで融資を受けられる可能性があります。ただし、2期以上連続の赤字や債務超過の場合は、非常に厳しくなります。
創業したばかりでも銀行融資は受けられますか?
創業2年未満の場合、民間銀行での融資は難しいケースが多いです。日本政策金融公庫の創業融資や、信用保証協会の創業関連保証を検討しましょう。
担保や保証人がなくても融資は受けられますか?
信用保証協会付き融資を利用すれば、担保・保証人なしで融資を受けられる可能性があります。また、「経営者保証に関するガイドライン」により、一定の条件を満たせば経営者保証なしで融資を受けられるケースも増えています。
審査に落ちた場合、再度申し込めますか?
申し込めます。ただし、落ちた原因を改善してから再申込することが重要です。同じ状態で再申込しても、同じ結果になる可能性が高いです。3〜6ヶ月程度の間隔を空けて、財務状況や事業計画を改善してから再チャレンジしましょう。
まずは相談してみよう
「審査に通るか不安」「どの資金調達方法が自分に合っているかわからない」という方は、お気軽にご相談ください。
当サイトのAIコンサルタントは、24時間いつでもあなたの資金調達の悩みをお聞きします。状況に合った最適な方法を一緒に考えましょう。
また、金融機関データベースでは、銀行・ノンバンク・ファクタリング会社など700社以上の情報を掲載しています。審査基準や特徴で比較検討できますので、ぜひご活用ください。
まとめ
この記事のポイント
- 銀行融資の審査では「財務状況」「事業の将来性」「返済能力」「経営者の信用」「担保・保証」の5つが見られる
- 3期連続黒字、自己資本比率20%以上が審査通過の目安
- 税金滞納・2期連続赤字・債務超過は審査が非常に厳しくなる
- 事業計画書・資金繰り表の準備が審査通過の鍵
- メインバンクとの日頃からの関係構築が重要
- 銀行融資が難しい場合は、日本政策金融公庫・ビジネスローン・ファクタリングも検討
銀行融資は審査が厳しい反面、低金利で大きな金額を調達できる魅力があります。本記事で解説した5つのポイントを押さえ、しっかりと準備をして審査に臨みましょう。