ファクタリング
ファクタリングとABL(売掛債権担保融資)の違い|どちらを選ぶべき?

ファクタリングとABL(売掛債権担保融資)の違いを徹底比較。「売却」と「担保融資」の根本的な違い、コスト、審査、会計処理への影響を解説。それぞれが向いているケースや併用の可否まで、資金調達方法の選び方がわかります。
売掛金を活用した資金調達方法として、「ファクタリング」と「ABL(売掛債権担保融資)」があります。どちらも売掛債権を使って資金を得る点では共通していますが、仕組みやコスト、会計処理への影響は大きく異なります。
本記事では、ファクタリングとABLの違いを詳しく比較し、それぞれが向いているケースを解説します。自社に最適な資金調達方法を選ぶ参考にしてください。
ABL(売掛債権担保融資)とは
まず、ABLについて基本的な仕組みを理解しておきましょう。
ABLの仕組み
ABL(Asset Based Lending)とは、売掛債権や在庫、機械設備などの事業資産を担保にして融資を受ける資金調達方法です。日本語では「動産・債権担保融資」や「売掛債権担保融資」と呼ばれます。
【ABLの基本的な流れ】
- 事業者が売掛債権などを担保として金融機関に提供
- 金融機関が担保価値を評価し、融資額を決定
- 融資実行(担保評価額の70〜80%程度が目安)
- 事業者は利息を付けて返済
- 返済完了後、担保が解除される
ABLの最大の特徴は、不動産担保や保証人に頼らず、事業活動で生み出される資産を担保にできる点です。不動産を持たない中小企業でも、売掛金や在庫があれば融資を受けられる可能性があります。
担保にできる資産の種類
ABLでは、以下のような事業資産を担保にできます。
ABLは銀行や政府系金融機関(日本政策金融公庫など)が提供しており、一般的な融資と同様の審査プロセスを経て実行されます。
ファクタリングとABLの根本的な違い
ファクタリングとABLは、どちらも売掛債権を活用する点では共通していますが、根本的な仕組みが異なります。
「売却」と「担保融資」の違い
最も重要な違いは、ファクタリングが「売掛債権の売却(譲渡)」であるのに対し、ABLは「売掛債権を担保にした融資」である点です。
ポイント:ファクタリングは「売掛金を売る」、ABLは「売掛金を担保に借りる」と覚えておくとわかりやすいです。
会計処理・財務諸表への影響
この違いは、会計処理や財務諸表への影響に直結します。
ファクタリングは負債として計上されないため、バランスシートを悪化させずに資金調達できます。一方、ABLは借入金として計上されるため、負債比率や自己資本比率に影響します。
返済義務の有無
ファクタリング(ノンリコース契約)では、売掛先が支払えなくなっても、利用者に返済義務はありません。債権を売却した時点で、回収リスクはファクタリング会社に移転します。
一方、ABLは融資であるため、返済義務があります。売掛先が支払えなくなった場合でも、借りたお金は返さなければなりません。担保として提供した売掛債権が回収できなければ、他の方法で返済する必要があります。
⚠ 注意
ファクタリングでも「償還請求権あり(ウィズリコース)」の契約では、売掛先が支払えない場合に買い戻し義務が発生します。契約内容を必ず確認しましょう。
ファクタリングとABLの比較表
ファクタリングとABLの主な違いを一覧で比較します。
ファクタリングのメリット・デメリット
メリット
- スピード:最短即日で資金化できる
- 審査:売掛先の信用力が重視され、自社が赤字でも利用可能
- 負債にならない:借入ではないため、財務諸表を悪化させない
- 信用情報に影響なし:将来の融資審査に影響しない
- 回収リスク移転:ノンリコースなら売掛先の倒産リスクを回避できる
- 担保・保証人不要:不動産や連帯保証人がなくても利用できる
デメリット
- コストが高い:手数料は年率換算すると銀行融資より割高
- 単発利用が基本:毎回審査・契約が必要(継続契約もあるが)
- 売掛金が必要:売掛金がなければ利用できない
- 悪徳業者リスク:業界に登録制度がなく、悪質な業者も存在
ABLのメリット・デメリット
メリット
- コストが低い:金利は年2〜8%程度と、ファクタリングより安い
- 継続的に利用可能:枠を設定すれば、必要な時に借入・返済ができる
- 多様な担保:売掛債権だけでなく、在庫や設備も担保にできる
- 不動産担保不要:不動産を持たない企業でも利用できる
- 信頼性:銀行など信頼できる金融機関が提供
デメリット
- 審査に時間がかかる:実行まで2週間〜1ヶ月以上
- 審査が厳格:銀行融資と同等の審査基準
- 返済義務あり:借りたお金は必ず返さなければならない
- 負債が増える:借入金として計上され、財務諸表に影響
- 担保管理が必要:定期的な報告義務が発生することも
- モニタリングコスト:担保評価のための費用が発生する場合がある
ファクタリングが向いているケース
急ぎで資金が必要なとき
「今週中に支払いがある」「来週の仕入れ資金が足りない」など、緊急の資金ニーズにはファクタリングが適しています。ABLは審査に時間がかかるため、急ぎの資金調達には向きません。
借入を増やしたくないとき
すでに銀行借入があり、これ以上負債を増やしたくない場合、ファクタリングは有効な選択肢です。ファクタリングは負債として計上されないため、財務諸表を悪化させずに資金調達できます。
【こんな場面で有効】
- 決算期前に負債を増やしたくない
- 銀行との融資交渉中で、借入残高を増やせない
- 自己資本比率を維持したい
銀行融資の審査に通らないとき
赤字決算や債務超過、税金滞納などで銀行融資・ABLの審査に通らない場合でも、ファクタリングなら利用できる可能性があります。ファクタリングは売掛先の信用力を重視するため、自社の財務状況が悪くても審査に通りやすいです。
ABLが向いているケース
長期的・継続的に資金が必要なとき
運転資金を継続的に確保したい場合は、ABLの方が適しています。一度融資枠(コミットメントライン)を設定すれば、必要な時に借入・返済を繰り返せるため、資金繰りの安定化につながります。
コストを抑えたいとき
長期的にはABLの方がコストを抑えられます。ファクタリングの手数料を年率換算すると、ABLの金利を大きく上回ることがほとんどです。
【コスト比較例】売掛金1,000万円を資金化する場合
ファクタリング(手数料10%):100万円/回
ABL(年利5%・1ヶ月借入):約4.2万円/回
時間に余裕があり、銀行審査に通る見込みがあれば、ABLを検討する価値があります。
在庫も含めて担保にしたいとき
売掛債権だけでなく、在庫や機械設備も担保にして調達額を増やしたい場合は、ABLが適しています。ファクタリングは売掛債権のみが対象ですが、ABLは複数の資産を組み合わせて担保にできます。
併用は可能?注意点は?
ファクタリングとABLを併用することは、条件によっては可能です。ただし、以下の点に注意が必要です。
⚠ 併用時の注意点
- 同じ売掛債権は使えない:ABLの担保にしている売掛債権をファクタリングで売却することはできません(二重譲渡になる可能性)
- ABLの契約内容を確認:ABL契約で「他の担保設定禁止」などの条項がある場合、ファクタリング利用が制限される可能性があります
- 金融機関への報告:ABL利用中にファクタリングを利用する場合、金融機関への報告が必要な場合があります
併用を検討する場合は、ABLを提供している金融機関と、ファクタリング会社の両方に事前相談することをおすすめします。
使い分けの例
- A社への売掛債権 → ABLの担保として継続利用
- B社への売掛債権(スポット取引)→ 急ぎの資金ニーズにファクタリングで利用
よくある質問(FAQ)
ABLを利用中でもファクタリングは使える?
ABLの担保対象になっていない売掛債権であれば、ファクタリングを利用できる可能性があります。ただし、ABL契約の内容によっては制限がある場合もあるため、事前に金融機関に確認してください。同じ売掛債権を両方に使うことは「二重譲渡」となり、法的問題が生じるため絶対に避けてください。
どちらが審査に通りやすい?
一般的に、ファクタリングの方が審査に通りやすいです。ファクタリングは売掛先の信用力を重視するため、自社が赤字や債務超過でも利用できる可能性があります。一方、ABLは銀行融資と同等の審査が行われ、自社の財務状況も厳しくチェックされます。
信用情報への影響は?
ファクタリングは借入ではないため、CICやJICCなどの信用情報機関には記録されません。将来の住宅ローンや事業融資の審査に影響しません。一方、ABLは借入として記録されるため、信用情報に影響します。ただし、通常の借入と同様の扱いであり、延滞なく返済していればネガティブな影響はありません。
まずは相談してみよう
「ファクタリングとABL、どちらが自社に合っている?」「売掛金を活用した資金調達を検討したい」という方は、お気軽にご相談ください。
当サイトのAIコンサルタントは、24時間いつでもあなたの資金調達の悩みをお聞きします。状況に合った最適な方法を一緒に考えましょう。
また、金融機関データベースでは、ファクタリング会社やABLを提供する銀行など700社以上の情報を掲載しています。条件で比較検討できますので、ぜひご活用ください。