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OpenAIの「年換算の売上」は500億ドル近く、報道より200億ドル少なかった — 差の正体は数え方、ナスダック1.5%安・半導体指数3.8%安

OpenAIが投資家に伝えた9月末の年換算の売上は500億ドル近く。9月に報じられた700億ドルより約200億ドル少なかったとFTが報道。差の正体は、アンソロピックがクラウド経由の売上を含め、OpenAIは含めないという数え方の違い。報道の日、ナスダックは1.5%安、半導体指数は3.8%安。投資と暮らしへの影響を整理する。
OpenAIの年換算の売上は「500億ドル近く」— 9月に報じられた700億ドルより約200億ドル少なかった
英フィナンシャル・タイムズ(FT)が10月8日、OpenAIの財務資料をもとに報じました。OpenAIは投資家に対し、9月末の年換算の売上が「500億ドルに近づいている」と説明していたといいます(Investing.com/Yahoo Finance)。
- 9月下旬には、複数のメディアが700億ドルと報じていた
- その差は約200億ドル。700億ドルの約7割の水準にとどまる
- OpenAIはコメントを控えている
AIブームのけん引役とされてきた会社の「売上」が、思われていたより3割近く小さかったことになります。
差の正体は「数え方」— アンソロピックはクラウド経由の売上も含め、OpenAIは含めない
200億ドルの差は、売上が急に減ったわけではありません。数え方の違いから生まれました(FT報道)。
- アンソロピック:AWSやグーグル・クラウドなど、クラウド会社を通じて売れた分も売上に含める
- OpenAI:そうしたパートナー経由の売上は含めない
- 投資家が2社を同じ物差しで比べようとして、OpenAIの数字をアンソロピック流に膨らませた
アンソロピックの年換算の売上は、7月時点で650億ドル(CNBC、8月17日)。OpenAIの数え方の「500億ドル」とは、そのまま比べられない数字です。
700億ドルはどう生まれたか — 8月の「400億ドル(換算後)」に「70%超の伸び」を重ねた
報道によると、700億ドルという数字は、次のように組み立てられていました(Yahoo Finance/Rolling Out)。
- 8月:投資家がアンソロピック流に換算し直した推計が400億ドル
- OpenAIは「7月以降、売上は70%超伸びた」と説明
- 400億ドルに70%を重ねて、約700億ドルという数字が広まった
つまり、換算後の数字に、OpenAI自身の数え方での伸び率を掛け合わせていたことになります。違う物差しの数字を重ねたことで、200億ドルのずれが生まれました。
そもそも「年換算の売上」とは — 1か月の売上を12倍した数字で、1年に稼いだ額ではない
ニュースでよく見る「年換算の売上(ランレート)」は、決算書の売上とは違います。
- ふつうは直近1か月の売上×12で計算する(Rolling Out)
- 1年間に実際に稼いだ額ではない
- OpenAIもアンソロピックも未上場で、決算を公開する義務がない
- どの売上を含めるかは、会社ごとの決め方に任されている
上場企業の決算と違い、同じ「売上」という言葉でも中身がそろっていない。この数字が、AIへの投資の大きさを決める目安として使われてきました。
市場の反応 — 報道の日、ナスダックは1.5%安、半導体指数は3.8%安
報道が伝わった10月8日、米国の株式市場ではAI関連の銘柄が売られました。
- ナスダック総合指数:1.5%安、S&P500:0.7%安(米東部時間14時6分時点、Yahoo Finance)
- フィラデルフィア半導体指数:3.8%安、SPDR S&P半導体ETF:4.3%安(Finimize)
- エヌビディア、マイクロン、インテル、オラクル、ブロードコムのほか、電力会社の株も売られた
同じ日、エヌビディアが出資する豪州のAIデータセンター企業Firmusの上場(10月23日予定)でも、需要の落ち込みが報じられ、出資する豪Maasグループの株は一時30%安となりました(Bloomberg/Crypto Briefing)。
投資への影響 — オラクルの受注残の約半分がOpenAI、上場を前に「物差し」が焦点に
OpenAIの売上は、1社の問題では終わりません。AIへの投資の連鎖につながっているからです。
- オラクルの計算資源の受注残の約半分がOpenAI(D.A.デビッドソンのギル・ルリア氏、Rolling Out)
- 9月に「700億ドル」と報じられた際、オラクル株は5.3%上昇していた
- OpenAIは2027年初めの上場が広く見込まれ、アンソロピックも年内の上場がうわさされる(Yahoo Finance)
上場すれば、売上は決まったルールで開示されます。それまでは、ニュースの「年換算の売上」を見るとき、どこまで含めた数字かを確かめることが、投資判断の前提になります。
暮らしと仕事への影響 — AIサービスの値上げと、AI関連の投資信託に注意
この話は、AIを使う側にも関わります。
- AIの会社は、売上を伸ばすことを強く求められる段階に入った。有料プランの値上げや、広告の導入が進みやすい
- OpenAIは10月下旬に、ChatGPTの画像生成で広告の試験を始める予定(10月5日発表)
- 半導体やAI関連の株を多く含む投資信託は、こうしたニュース1本で値動きが大きくなりやすい
AIのサービスは値段やプランが変わる前提で契約を見直し、投資では中身の偏りを一度確かめておくと安心です。
注意しておきたい点と、次に見るポイント
読み違えやすいところを、先に整理しておきます。
- 売上が減ったわけではありません。OpenAIは「7月以降70%超伸びた」と説明しています。違うのは数え方です。
- 500億ドルはFTが見た資料にもとづく報道で、OpenAIはコメントしていません。
- 株価の数字は取引時間中のもので、終値ではありません。
- MBIでも9月の記事で、報道ベースの約700億ドルを紹介していました。今回の報道で、その数字は換算後のものだったことになります。
次に見るポイントは3つです。①アンソロピックの上場目論見書で売上の数え方がどう書かれるか、②OpenAIが売上の定義を説明するか、③10月下旬から始まる大手IT企業の決算で、AIへの投資計画が変わるかです。
まとめ
OpenAIが投資家に伝えた9月末の年換算の売上は500億ドル近くで、報じられていた700億ドルより約200億ドル少ないものでした。差の正体は、クラウド経由の売上を含めるかどうかという数え方の違いです。
報道の日、ナスダックは1.5%安、半導体指数は3.8%安。AIへの巨額投資を支えてきた「需要の物差し」が、そろっていなかったことが分かりました。投資では数字の中身を、仕事ではAIサービスの値上げを意識しておきましょう。
出典・参考情報
- Investing.com「OpenAI annualized revenue at $50bn, far below reports - FT」2026年10月8日 — investing.com
- Yahoo Finance「OpenAI's annualized revenue $20 billion lower than prior investor estimates」2026年10月8日 — finance.yahoo.com
- Rolling Out「OpenAI's revenue reveal is a $20 billion reality check」2026年10月8日 — rollingout.com
- Finimize「Tech Stocks Slipped As OpenAI's Revenue Talk Got Repriced」2026年10月8日 — finimize.com
- Yahoo Finance「Stock market today(October 8)」2026年10月8日 — finance.yahoo.com
- CNBC「Anthropic tells investors annualized revenue run rate climbed to $65 billion in July」2026年8月17日 — cnbc.com
- Crypto Briefing「Nvidia-backed Firmus IPO stumbles as demand fades」2026年10月8日 — cryptobriefing.com
- Reuters「Australia's Firmus prices shares to raise $5 billion, term sheet shows」2026年10月1日 — kfgo.com
※OpenAIの売上は報道にもとづく数字で、同社はコメントしていません。株価の騰落率は取引時間中の値です。噂レベル:Firmusが公募価格を約25%引き下げるとの報道もあります(Coinpaper、10月8日・未確認)。本記事は投資助言ではありません。