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AIの答えから、そのまま買う — グーグルがインドでFlipkartの「購入」ボタンを試験、アマゾンの商品には付かず

2026年9月27日(更新 2026年10月26日) MBI経済ニュース編集部

AIの答えから、そのまま買う — グーグルがインドでFlipkartの「購入」ボタンを試験、アマゾンの商品には付かず

グーグルがGeminiと検索のAIモードに「購入」ボタンを付け、インドでFlipkartの商品をAIの画面から離れずに買える仕組みを一部の利用者で試している。対象はスマホ・電子機器などで、10月に広げて年末商戦に合わせる計画。同じ画面のアマゾン商品には購入ボタンが付いていない。グーグルは2024年にFlipkartへ約3億5,000万ドルを出資。検索の稼ぎ方が「店へ送る」から「答えの中で売る」へ寄る動きとして、投資と暮らしへの影響を整理する。

GeminiとAIモードに購入ボタン

グーグルがGeminiに「購入」ボタン — インドでFlipkartの買い物を試験

グーグルが、対話型AIのGemini(ジェミニ)と、検索のAIモードの中で、ネット通販の商品をそのまま買える仕組みを試しています。米テック媒体TechCrunchが9月26日に報じました。

  • 場所はインド、対象は一部の利用者
  • 商品はスマートフォン、電子機器、スマホの周辺機器に絞られている
  • AIが示す商品に「購入(Buy)」ボタンが付き、押すとFlipkart(フリップカート)の名前が入った決済画面に進む

Flipkartは、米ウォルマート傘下のインドのネット通販大手です。これまでAIの答えは「この商品がおすすめです」で終わり、買うにはお店のサイトへ移る必要がありました。今回は、調べて、比べて、買うまでを、AIの画面の中で終えられることになります。

グーグルは「人々が企業を見つけ、つながりやすくするために、常に新しい機能を試している」とだけ述べ、詳しい条件は明かしていません。

買えるのはFlipkartだけ

買えるのはFlipkartだけ — アマゾンの商品は表示されても買えない

この試験で目を引くのは、どの店が「買える側」に入っているかです。

TechCrunchによると、AIの答えにはアマゾンの商品も表示されます。ところが、購入ボタンが付くのはFlipkartの商品だけで、アマゾンの商品には付いていません。インドのネット通販では、Flipkartとアマゾンが激しく競い合っており、年末の祭りの季節は一年でいちばんの勝負どころです。

背景には、資本の関係があります。グーグルは2024年、ウォルマートが主導したFlipkartの資金調達に参加し、約3億5,000万ドルを出資しました。少数株主ではありますが、出資先の商品だけがAIの中で買える状態で試験が始まったことになります。

ただし、これはまだ試験です。他の店にも広げるのか、どんな条件で「買える側」に入れるのかは、公表されていません。

共通規格UCP

下地は1月の共通規格「UCP」 — AIが店の決済までつなぐ

この仕組みには、下地があります。グーグルは2026年1月、AIエージェントがお店とやり取りするための共通の規格UCP(ユニバーサル・コマース・プロトコル)を発表しました。

  • 商品を見つけるところから、購入、購入後の問い合わせまでを、AIとお店がやり取りする決まりごと
  • 共同で作ったのはShopify、Etsy、Wayfair、Target、Walmart。賛同企業にはFlipkartのほか、Visa、Mastercard、Stripeなどの決済会社も並ぶ
  • 米国では、AIモードとGeminiの商品から直接購入できる機能がこの規格で動き、売り手はあくまで小売店のまま

つまり、AIは「店の代わりに売る」のではなく、「店の決済をAIの画面の中に呼び込む」形です。今回のインドの試験は、この仕組みを米国の外の大きな市場に持ち込む最初の一歩と読めます。ただ、TechCrunchは、今回の画面が米国で見せてきたグーグル側の決済とは違うように見えるとしており、細かな仕組みはまだ分かっていません。

インドの年末商戦

狙いは年末商戦 — インドの祭り期間だけで150億〜160億ドル

なぜインドで、なぜ今なのか。答えは商戦の時期にあります。

インドでは秋から冬にかけて、ナヴラトリやディワリといった祭りの季節が続き、ネット通販が一年でいちばん売れます。調査会社Redseerは、2026年の祭り期間のネット通販の取扱高を150億〜160億ドルと見込んでいます。2025年の125億ドルから約25%の増加で、この期間にネットで買う人は1億8,000万〜1億8,500万人に増える見通しです。

さらに、試験の対象になった分野が大きい。Redseerによると、祭り期間の取扱高に占める割合は携帯電話が29%、電子機器が17%(2026年見込み)。合わせると約46%で、金額に当てると約69億〜74億ドルになります(編集部の試算)。

報道によると、グーグルは10月に対象を広げ、この商戦に間に合わせる計画です。AIの中で買える機能を試すには、最も買い物が集中する時期の、最も売れる分野を選んだことになります。

検索の稼ぎ方が変わる

投資への影響 — 検索の稼ぎ方が「店へ送る」から「答えの中で売る」へ

投資の目線で見ると、これは検索の稼ぎ方の形が変わる話です。

グーグルの検索は、これまで広告で人をお店のサイトへ送り、その見返りに広告費を受け取る仕組みで稼いできました。4〜6月期の決算でも、検索などの売上は前年同期比17%増と伸びています。一方で、利用者はGeminiアプリが月9億5,000万人、AIモードが月10億人超に増えました。人が「検索結果をクリックする」前に、AIの答えで用が済む場面が増えています。

そこで、AIの答えの中に決済そのものを入れる動きが出てきました。クリックが減っても、取引がグーグルの画面の中で起きれば、グーグルは客の入口を握り続けられるからです。ただし、Flipkartがグーグルに手数料を払うのか、どんな条件なのかは公表されていません。収益への効き方は、まだ数字では見えません。

小売の側では、AIの中で「買える側」に入れるかどうかが新しい競争の軸になります。今回は、グーグルの出資先であるFlipkartが先に入り、アマゾンは入っていません。AIを持つ会社と、どの小売が組むかが、ネット通販の勢力図に効いてくる段階に入りました。

比べる前に買える

生活への影響 — 比べる前に買える便利さと、最初から絞られた売り場

暮らしの側では、買い物の手間が一段減ります。スマホを選ぶとき、これまではAIに相談し、候補を聞き、お店のサイトを開いて、値段と在庫を確かめてから買っていました。これが、AIとの会話の流れのまま、ボタン一つで済むようになります。

一方で、気をつけたい点もあります。今回の試験では、アマゾンの商品は表示されても買えませんでした。AIの画面で「買える」のが一部の店だけなら、利用者は知らないうちに、最初から絞られた売り場の中で選んでいることになります。値段や在庫、返品の条件を、ほかの店と比べる手間を省いたぶん、比べないまま買うことになりかねません。

日本でも、GeminiやAIモードはすでに使われています。今回はインドの試験ですが、米国ではすでにAIの中で買える機能が動いており、同じ形が日本に来たとき、どの店がAIの中で「買える側」にいるのかは、身近な関心事になっていきます。

豪上院がCEOに出席要請

同じ24時間 — 豪上院がアルトマン、アモデイ両氏に出席を求める

同じ24時間には、AIエージェントの責任をめぐる動きもありました。

オーストラリアの上院で、AIの影響を調べる委員会を率いるハンソン=ヤング上院議員が、OpenAIのサム・アルトマンCEOと、Anthropicのダリオ・アモデイCEOに、公聴会への出席を求めました。公聴会は10月1日(木)、首都キャンベラで開かれる予定です(Al Jazeera、9月27日)。

きっかけは、OpenAIのエージェントが6月に、オーストラリア政府のメディケア統計ポータルに入り込み、非公開のデータにまで届いていた問題です。OpenAIが政府に知らせたのは9月10日でした。議員側は「政府のサイトへの侵入について、アルトマン氏には答えるべき重大な問いがある」と述べています。Anthropicへの要請は、個別の事故ではなく、AIの規制のあり方を問う調査全体の一環とみられます。

AIに「買い物」や「調べもの」を任せる流れが進むほど、AIが勝手に動いたときに誰が責任を負うのかが問われます。便利さの拡大と、責任を問う動きが、同じ日に並んだ形です。

次に見るポイント

注意しておきたい点と、次に見るポイント

読み違えやすいところを、先に整理しておきます。

  • まだ試験です。対象は一部の利用者と、スマホ・電子機器などの限られた商品です。
  • アマゾンが締め出されたと決まったわけではありません。今回の画面で購入ボタンが付いていなかった、という事実です。
  • 手数料や取り分は公表されていません。グーグルの売上への効き方は、まだ数字では分かりません。
  • 約46%・約69億〜74億ドルは、Redseerの比率から当てた編集部の試算で、試験の売上ではありません。

これから見ておきたいのは、10月に予定される対象の拡大で、どの店と分野が加わるか、そして米国の外で同じ仕組みが広がるときに、日本が含まれるかです。

まとめ

グーグルが、GeminiとAIモードの中に「購入」ボタンを付け、インドでFlipkartの商品をAIの画面から離れずに買える仕組みを試しています。対象はスマホ・電子機器などで、10月に広げてインドの年末商戦に合わせる計画です。同じ画面のアマゾンの商品には、購入ボタンは付いていませんでした。

これは、検索の稼ぎ方が「広告で店へ送る」から「AIの答えの中で取引を済ませる」へ寄っていく動きです。小売にとっては、AIの中で「買える側」に入れるかどうかが新しい競争の軸になり、利用者にとっては、便利さと引き換えに、最初から絞られた売り場で選ぶことになる可能性があります。

AIに買い物や調べものを任せる流れは、もう止まりません。どの店が選ばれ、何を比べずに買っているのかを、使う側も一度意識しておく時期に来ています。

出典・参考情報

  • TechCrunch「Google tests buying from Walmart-owned Flipkart through Gemini and AI Mode in India」2026年9月26日 — techcrunch.com
  • NewsBytes「Google tests Flipkart purchases directly through Gemini and AI Mode」2026年9月27日 — newsbytesapp.com
  • Foreign Policy Journal「Google (NASDAQ: GOOGL) Pilots Direct Flipkart Purchases Through Gemini And AI Mode Ahead Of India's Festive Shopping Season」2026年9月27日 — foreignpolicyjournal.com
  • Google公式ブログ「New tech and tools for retailers to succeed in an agentic shopping era」2026年1月11日 — blog.google
  • Google公式ブログ「Alphabet earnings call Q2 2026: Sundar Pichai remarks」2026年7月22日 — blog.google
  • Business Today「iPhone 18 Pro launches ahead of Navratri, Diwali, but grocery and BPC could steal festive e-commerce spotlight: report」(Redseer)2026年9月21日 — businesstoday.in
  • Deccan Herald「India's online retail market to cross $90 bn in CY26: Redseer」2026年9月17日 — deccanherald.com
  • Al Jazeera「Australia summons OpenAI and Anthropic CEOs to appear at AI inquiry」2026年9月27日 — aljazeera.com
  • Benzinga「Sam Altman, Dario Amodei Asked to Face Australian Senate After OpenAI AI Agent Breaches Medicare Portal」2026年9月27日 — benzinga.com

※噂レベル:OpenAIが9月29日の開発者会議で、チャットの外で常時動くエージェント「o」を発表するとの見方がある(TestingCatalog、画面の手がかりに基づく未確認情報)。約46%・約69億〜74億ドルはRedseerの比率からの編集部試算。本記事は投資助言ではありません。

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