補助金・助成金

業務改善助成金とは?最低賃金引き上げで活用できる助成金【2025年版】

2025年12月12日(更新 2026年10月26日) MBI経済ニュース編集部

業務改善助成金とは?最低賃金引き上げで活用できる助成金【2025年版】

業務改善助成金は、事業場内の最低賃金を30円以上引き上げ、生産性向上のための設備投資を行った中小企業・小規模事業者に最大600万円が支給される助成金です。2025年度は予算が297億円に大幅増額され、助成率の区分も簡素化。特例事業者になればパソコンや車両も対象に。4つのコース別の支給額や申請の流れを詳しく解説します。

「従業員の賃金を上げたいけど、経営への負担が大きい」「設備投資をしたいが資金に余裕がない」——そんな悩みを抱える中小企業・小規模事業者の方に朗報です。

「業務改善助成金」は、事業場内の最低賃金を引き上げながら生産性向上の設備投資を行うと、その費用の最大80%(最大600万円)が助成される制度です。毎年行われる最低賃金の引き上げに対応しながら、設備投資の負担を大幅に軽減できます。

2025年度(令和7年度)は予算が297億円に大幅増額され、助成率の区分も簡素化されました。この記事では、業務改善助成金の仕組みから2025年度の変更点、申請の流れまで詳しく解説します。

業務改善助成金とは?

業務改善助成金は、厚生労働省が実施する中小企業・小規模事業者の生産性向上と賃金引き上げを同時に支援する助成金制度です。

具体的には、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を30円以上引き上げ、同時に生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、その設備投資費用の一部が助成されます。

業務改善助成金の3つのメリット

業務改善助成金のメリット

① 設備投資の負担を大幅軽減
設備投資費用の最大80%が助成されるため、実質2〜3割の自己負担で導入可能

② 賃上げと設備投資を両立
賃金アップによる従業員のモチベーション向上と、設備投資による生産性向上を同時に実現

③ 要件を満たせば原則支給
補助金と異なり「採択制」ではないため、要件を満たせば原則として助成金が支給される

対象となる事業者

業務改善助成金の対象となるのは、以下の要件をすべて満たす中小企業・小規模事業者です。

業種 資本金・出資金 または常時使用する従業員数
製造業、建設業、運輸業、その他 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下

さらに、以下の要件も満たす必要があります。

  • 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差が50円以内であること
  • 解雇や賃金引き下げなどの不交付事由がないこと
  • 雇入れ後6か月以上経過した労働者がいること(2025年度から変更)

⚠ 2025年度からの変更点

「みなし大企業」は対象外となりました。大企業と密接な関係にある中小企業(発行株式の1/2以上を大企業が所有している場合等)は、要件を満たしていても利用できません。

4つのコースと助成上限額

業務改善助成金は、事業場内最低賃金の引き上げ額によって4つのコースに分かれています。引き上げ額が大きいほど、また引き上げる労働者数が多いほど、助成上限額が高くなります。

コース別の助成上限額

コース 引き上げ人数 30人未満 30人以上
30円コース
(30円以上引上げ)
1人 60万円 60万円
2〜3人 90万円 60万円
4〜6人 100万円 70万円
7人以上 120万円 100万円
45円コース
(45円以上引上げ)
1人 80万円 80万円
2〜3人 110万円 80万円
4〜6人 140万円 110万円
7人以上 160万円 140万円
60円コース
(60円以上引上げ)
1人 110万円 110万円
2〜3人 160万円 110万円
4〜6人 190万円 160万円
7人以上 230万円 190万円
90円コース
(90円以上引上げ)
1人 170万円 170万円
2〜3人 240万円 170万円
4〜6人 290万円 240万円
7人以上 450万円 380万円

※10人以上の場合は、特例事業者に限りさらに高い上限額(最大600万円)が適用されます。

助成率

2025年度から助成率の区分が3つから2つに簡素化されました。

事業場内最低賃金 助成率
1,000円未満 4/5(80%)
1,000円以上 3/4(75%)

【例】助成金額の計算

事業場内最低賃金980円の企業が、30円コースで4人の賃金を引き上げ、100万円の設備投資を行った場合(事業場規模30人未満)

設備投資費100万円 × 助成率80% = 80万円(上限100万円以内のため全額助成)

対象となる設備投資・経費

業務改善助成金では、生産性向上・業務効率化に資する設備投資等が助成対象となります。業種によって様々な設備投資に活用できます。

通常の対象経費

カテゴリ 具体例
機械設備 POSレジシステム、自動食洗機、業務用冷蔵庫、券売機、フォークリフト、業務用プリンター
システム導入 在庫管理システム、勤怠管理システム、顧客管理システム(CRM)、会計ソフト
コンサルティング 業務改善コンサルティング、経営診断、専門家によるアドバイス
人材育成・研修 従業員向け研修、技能訓練、資格取得支援
店舗改装 業務効率化のためのレイアウト変更、作業動線改善のための改装

特例事業者のみ対象となる経費

「特例事業者」に該当する場合は、通常は対象外のパソコン・車両なども助成対象になります。

特例事業者のみ対象となる経費

  • パソコン・タブレット・スマートフォン:業務用端末および周辺機器の新規導入
  • 自動車:定員7人以上、または車両本体価格200万円以下の乗用車・貨物車

特例事業者とは?

以下のいずれかの要件を満たす事業者は「特例事業者」となり、助成上限額の拡大や対象経費の拡大といった優遇措置を受けられます。

要件1:賃金要件

申請時点で、事業場内最低賃金が1,000円未満であること。

この要件を満たすと、自動的に助成率が4/5(80%)に優遇されます。

要件2:物価高騰等要件

原材料費の高騰など外的要因により、申請前3か月間のうち任意の1か月の利益率が前年同期比で3%ポイント以上低下していること。

この要件を満たすと、パソコン・車両も対象経費に含まれるようになり、助成上限額も拡大されます。

【例】物価高騰等要件の判定

2024年6月の売上高総利益率:35%
2025年6月の売上高総利益率:31%
差:35% - 31% = 4%ポイント低下 → 要件該当

2025年度の主な変更点

2025年度(令和7年度)の業務改善助成金は、前年度と比較していくつかの重要な変更があります。

項目 2024年度 2025年度
予算 180億円 297億円(大幅増額)
助成率の区分 3区分(900円未満/900〜950円/950円以上) 2区分(1,000円未満/1,000円以上)に簡素化
年間上限 事業場単位で600万円 事業主単位で600万円
対象労働者の雇用期間 3か月以上 6か月以上
みなし大企業 対象 対象外
事業完了期限 — 2026年1月31日(延長の場合は3月31日)

⚠ 年間上限の変更に注意

2024年度までは事業場(営業所・工場など)ごとに600万円まで申請可能でしたが、2025年度は事業主(会社)単位で年間600万円が上限となりました。複数拠点で申請する場合は注意が必要です。

申請の流れ

業務改善助成金の申請から支給までの流れを確認しましょう。

ステップ1:交付申請

「交付申請書」と「事業実施計画書」を作成し、事業場所在地の都道府県労働局に提出します。オンラインでの申請も可能です(jGrants利用、GビズIDプライムが必要)。

ステップ2:審査・交付決定

労働局で審査が行われ、交付決定の通知が届きます。

🚫 最重要注意事項

交付決定前に行った設備投資や賃金引き上げは助成対象外です。必ず交付決定通知を受けてから、設備導入・賃上げを実施してください。

ステップ3:事業実施

交付決定後、計画に基づいて設備投資と賃金引き上げを実施します。

ステップ4:実績報告

事業完了後、実績報告書を提出します。設備の導入が確認できる書類(請求書・領収書等)や、賃金引き上げを証明する書類(賃金台帳等)を添付します。

ステップ5:助成金支給

審査完了後、助成金が支給されます。

申請時の注意点

業務改善助成金を確実に受給するために、以下のポイントに注意しましょう。

予算には限りがある

業務改善助成金は予算の範囲内で運用されるため、申請が集中すると期限前でも募集終了となる可能性があります。特に9月以降は地域別最低賃金の引き上げを契機に申請が集中する傾向があるため、早めの申請をおすすめします。

年度内の申請は1回のみ

令和7年度中に申請できるのは1回のみです。また、賃金の引き上げも1回のみとし、複数回の引き上げは助成対象外となります。

他の助成金との併用に注意

キャリアアップ助成金の「賃金規定等改定コース」など、同じ対象者・同じ設備を対象とした助成金・補助金がある場合、片方しか受給できない可能性があります。併用を検討する場合は、事前に労働局に確認しましょう。

労務管理を整備しておく

賃金台帳や出勤簿など、日常的な労務管理が正確に行われていることが申請の前提となります。書類の整備状況に不安がある場合は、事前に確認しておきましょう。

業種別の活用事例

業務改善助成金は様々な業種で活用されています。いくつかの事例を紹介します。

【飲食業】POSレジ・食洗機の導入

注文管理の効率化と洗い物の時間短縮により、従業員の負担軽減と接客時間の確保を実現

【小売業】在庫管理システムの導入

手作業での棚卸し作業を削減、発注業務の効率化により残業時間を大幅削減

【介護・福祉業】リフト付き車両の導入

利用者の送迎業務の効率化と安全性向上、介護スタッフの身体的負担を軽減

【製造業】自動化設備の導入

手作業工程の自動化により生産性が向上、品質の安定化も実現

まずは相談してみよう

「業務改善助成金を活用したいけど、どの設備が対象になるか分からない」「申請書類の作成が不安」という方は、お気軽にご相談ください。

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また、金融機関データベースでは、銀行・ノンバンク・ファクタリング会社など700社以上の情報を掲載しています。助成金だけでなく融資による資金調達も含めて検討される場合は、ぜひご活用ください。

この記事のまとめ

  • 業務改善助成金は最低賃金30円以上引き上げ+設備投資で最大600万円が助成
  • 2025年度は予算297億円に大幅増額、助成率は最大80%
  • 特例事業者になればパソコン・車両も対象に
  • 交付決定前の設備投資・賃上げは対象外なので申請順序に注意
  • 9月以降は申請が集中するため早めの申請がおすすめ

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