週刊国際情勢レポート
【速報】トランプ氏、グリーンランド獲得へ軍事力行使も排除せず|欧州7カ国が共同声明で反発
トランプ大統領がグリーンランド獲得のため軍事力行使も排除しない姿勢をホワイトハウスが正式に表明。欧州7カ国首脳が共同声明で反発し、デンマーク首相は「NATOの終焉」を警告。ベネズエラ作戦成功後、米欧間の緊張が急激に高まっている。
アメリカのトランプ大統領が、デンマークの自治領グリーンランドを獲得するために軍事力の行使も排除しない姿勢を正式に示した。ホワイトハウスのレビット報道官が1月7日(日本時間)に声明を発表。これに対し欧州7カ国の首脳が即座に共同声明で反発し、デンマーク首相は「NATOの終焉」を警告するなど、同盟国間の緊張が一気に高まっている。ベネズエラでのマドゥロ大統領拘束作戦から4日、トランプ政権の「領土拡張」路線が現実の脅威として受け止められ始めた。
ホワイトハウスが軍事力行使を選択肢と明言
ホワイトハウスのカロライン・レビット報道官は1月6日(現地時間)、グリーンランド獲得に向けた選択肢について声明を発表した。声明では「トランプ大統領は、グリーンランドの獲得がアメリカの国家安全保障上の優先事項であり、北極圏地域で敵対勢力を抑止する上で極めて重要であることを繰り返し明確にしてきた」と強調している。
さらに「大統領とそのチームは、この重要な外交政策目標を追求するための幅広い選択肢について協議しており、最高司令官の裁量の下でアメリカ軍を活用することは常に選択肢の一つだ」と述べ、軍事力行使の可能性を排除しない姿勢を明確にした。ホワイトハウス高官はロイター通信に対し、トランプ大統領が現在の任期中にグリーンランドの確保を望んでいると語り、「この問題は消えない」と付け加えた。
💼 経営インパクト
NATO同盟国間の軍事的緊張は、欧米関係の根本的な変化を示唆。欧州との取引・投資を行う企業は、地政学リスクの再評価が必要。防衛関連株、為替市場への影響に注意。
ホワイトハウスが検討する3つの選択肢
トランプ氏の挑発的発言
トランプ大統領はエアフォースワン機上で記者団に対し、グリーンランドの重要性を強調した。「グリーンランドが必要だ。今、非常に戦略的に重要だ。グリーンランドの周辺はロシアと中国の船でいっぱいだ」と述べ、デンマークの防衛能力を疑問視した。
さらに「デンマークが最近グリーンランドの安全保障強化のためにしたことを知っているか?犬ぞりを1台追加しただけだ。本当だ。彼らはそれが素晴らしい措置だと思ったんだ」と揶揄。「デンマークにはこの任務を遂行できない」と断じた。
ホワイトハウス副首席補佐官のスティーブン・ミラー氏はCNNのインタビューで「グリーンランドの将来をめぐってアメリカと軍事的に戦う者はいない」と発言。同氏の妻ケイティ・ミラー氏は、グリーンランドの地図にアメリカ国旗を重ねた画像をXに投稿し、「SOON(まもなく)」とだけ書き込んだ。
欧州7カ国が共同声明で反発
1月6日、欧州7カ国の首脳が異例の速さで共同声明を発表した。
共同声明では「グリーンランドはその住民のものである」「デンマークとグリーンランドに関する問題を決定できるのは、デンマークとグリーンランドだけである」と明記。北極圏の安全保障はNATO同盟国と協力して達成されるべきだと強調した。
デンマーク首相「NATOの終焉」を警告
デンマークのフレデリクセン首相は国営放送での発言で、「もしアメリカがNATO加盟国を攻撃すれば、すべてが終わる」と警告した。グリーンランドはデンマーク王国の一部であり、NATO第5条(集団防衛条項)の保護下にあることを強調。「アメリカは歴史的な緊密な同盟国への脅迫を止めるよう強く求める」と述べた。
グリーンランドのニールセン首相も「アメリカからの現在の、そして繰り返される発言は完全に受け入れられない」「我が国は大国の修辞の道具ではない。我々は国民であり、国であり、民主主義だ」と反発した。
アメリカ国内からも懸念の声
超党派の「議会デンマーク友好議員連盟」の共同議長であるステニー・ホイヤー議員(民主党)とブレイク・ムーア議員(共和党)は共同声明を発表。「グリーンランド併合をめぐる武力威嚇は不必要に危険である」「グリーンランドへの攻撃は、悲劇的にもNATOへの攻撃となる」と警告した。
両議員は「我々はすでにグリーンランドから必要なものすべてにアクセスできている」と指摘。デンマークはすでにアメリカに対し、グリーンランドへの追加兵力配備やミサイル防衛インフラの建設を許可していることを強調した。
グリーンランドの戦略的価値
今後の展開と注目点
トランプ大統領は「20日後にグリーンランドについて話す」と予告しており、1月下旬に具体的な方針が示される可能性がある。カナダのカーニー首相はデンマーク支持を表明し、来月初めにカナダ総督とグリーンランド外相がグリーンランドを訪問する予定。グリーンランド住民の85%がアメリカへの併合に反対しており(2025年1月世論調査)、住民の意思が今後の焦点となる。
ポイント:NATO同盟国への軍事力行使示唆は前例のない事態。ベネズエラ作戦の「成功」がトランプ政権の行動を加速させる可能性があり、欧州の対米不信が深まれば、防衛・貿易・金融など幅広い分野で影響が生じる。
参考情報源
Bloomberg、Reuters、CNBC、CNN、NBC News、Al Jazeera、NPR、Fox News、Newsweek、Stars and Stripes、UPI(2026年1月6〜7日)