週刊国際情勢レポート
日本にも影響直撃か?イラン攻撃、報復の応酬ウクライナ・パキスタンも同時炎上!【週刊】国際情勢レポート|2026年2月21日〜3月1日
2026年2月21日〜3月1日の国際情勢を経営者向けに解説。アメリカ・イスラエルのイラン攻撃とハメネイ師死亡、ホルムズ海峡封鎖による原油急騰リスク、ウクライナ開戦4年目、パキスタン・アフガニスタン全面衝突など同時多発危機の全体像と経営への影響をまとめました。
2026年2月28日未明、アメリカとイスラエルはイランに対する大規模共同軍事作戦を開始した。作戦名は、アメリカ側「エピック・フューリー(壮絶なる怒り)」、イスラエル側「ローリング・ライオン(吠える獅子)」。イスラエル空軍は約200機の戦闘機で500以上の軍事目標を攻撃し、アメリカ軍は「大規模戦闘作戦」を宣言した。そして3月1日、イラン国営メディアが最高指導者アリー・ハメネイ師の死亡を公式に確認した。1989年の就任以来36年間にわたりイランを支配してきた体制の頂点が失われ、イランは1979年のイスラム革命以来最大の危機に直面している。ホルムズ海峡の「通過禁止」通告、湾岸6カ国への報復ミサイル攻撃、そして原油価格の急騰懸念。今週の出来事は、中東のみならず世界経済の構造を揺るがす可能性を秘めている。本レポートでは、イラン情勢を特集として深掘りするとともに、ウクライナ開戦4年目、パキスタン・アフガニスタンの全面衝突、韓国政治危機など、同時多発的に動いた国際情勢の全体像を経営者の視点から整理する。
今週の経営リスクサマリー
今週のタイムライン
★特集:イランとアメリカ — 73年の因縁と、その終幕
1953年〜2025年:なぜアメリカとイランは敵対するのか
今週の出来事を理解するためには、アメリカとイランの73年に及ぶ因縁を知る必要がある。
すべては1953年に始まった。イランの民主的に選出されたモハンマド・モサデク首相が、イギリス系石油会社の国有化を推進したことに対し、CIA(アメリカ中央情報局)とイギリス情報機関MI6が共同でクーデターを実行。モサデク政権を転覆させ、親米的なモハンマド・レザー・パフラヴィー国王(シャー)を復権させた。このクーデターは、アメリカがイランの民主主義を破壊したという深い傷を残し、今日に至るまでイラン国内の反米感情の根源となっている。
パフラヴィー国王はアメリカの支援のもとで近代化を推進したが、秘密警察「サヴァク」による弾圧と急激な西洋化への反発が国民の不満を増大させた。1979年、アーヤトッラー・ルーホッラー・ホメイニ師が率いるイスラム革命が勃発し、国王は亡命。イランはイスラム共和制に移行し、アメリカを「大悪魔」と呼ぶ反米国家へと一変した。同年11月、学生グループがテヘランのアメリカ大使館を占拠し、52名の外交官を444日間人質に取った「イラン人質事件」は、米イラン断交の決定的転機となった。
以降、両国は40年以上にわたり直接的な外交関係を持たない異例の対立関係を続けてきた。1980〜88年のイラン・イラク戦争ではアメリカがイラクのサダム・フセインを支援し、1988年にはアメリカ海軍がイラン航空655便を撃墜して乗客290名全員が死亡した。1984年にはレーガン政権がイランを「テロ支援国家」に指定。2002年にはブッシュ大統領がイランを「悪の枢軸」と名指しした。
2015年、オバマ政権下で画期的な核合意(JCPOA)が成立し、一時は関係改善の兆しが見えた。しかし2018年、トランプ大統領(第1次政権)が一方的に離脱。制裁を再強化し、2020年にはイラン革命防衛隊のカセム・ソレイマニ司令官をドローン攻撃で殺害した。
2025年6月には、イスラエルとイランの12日間戦争(Twelve-Day War)が勃発。アメリカも加わりイランの核施設を爆撃した。そして2025年12月末からイラン全土で大規模な反政府デモが拡大。通貨リアルの暴落と物価高騰に端を発し、1979年の革命以来最大規模に発展した。イラン当局が2026年1月8日・10日に行った弾圧では、アメリカの人権団体によれば7,000人以上が死亡したとされる。
こうした背景のもと、2026年1月にアメリカはイランに対し3つの要求を突きつけた。ウラン濃縮の永久停止、弾道ミサイル計画の制限、代理組織(ハマス、ヒズボラ、フーシ派)への支援停止である。2月6日にオマーン・マスカットで、2月27日にスイス・ジュネーブで核交渉が行われたが、いずれも決裂。そして交渉決裂の翌日、攻撃が始まった。
2026年2月28日:「エピック・フューリー作戦」全容
2月28日土曜日(イランでは週の始まり・平日にあたる)の朝、イスラエル空軍約200機がイラン全土の500以上の軍事目標に対する攻撃を開始した。イスラエル側の作戦名は「ローリング・ライオン」。ほぼ同時に、アメリカのトランプ大統領がTruth Socialに投稿した動画声明で「イランにおける大規模戦闘作戦」の開始を宣言。アメリカ側の作戦名は「エピック・フューリー(Operation Epic Fury)」とされた。
攻撃はテヘラン、イスファハン、ゴム、カラジ、ケルマンシャーなど少なくとも14都市に及んだ。テヘランのパストゥール地区にある最高指導者ハメネイ師の公邸・執務室には7発のミサイルが着弾。大統領府、国家安全保障会議の建物も標的となった。イスラエル軍は防空システム、ミサイル発射台、指揮統制施設を主要目標に掲げた。CNNによれば、標的リストにはハメネイ師、ペゼシュキアン大統領、軍参謀総長のムーサヴィーら最高指導部が含まれていた。
トランプ大統領は声明で「イランのミサイル産業を壊滅させ、海軍を殲滅する」と宣言。さらにイラン国民に向けて「あなたたちの自由の時が来た。政府を掌握せよ」と呼びかけ、公然と体制転換を要求した。ネタニヤフ首相も「イラン国民が自らの運命を手にする条件を作り出す」と述べ、イスラエルとアメリカの両指導者が体制転換という目標を共有していることが明確になった。
ポイント:イスラエル国防軍(IDF)の発表によれば、攻撃で7名のイラン高官・司令官が殺害された。ハメネイ師の顧問アリー・シャムハーニー、IRGC(イスラム革命防衛隊)司令官、国防大臣なども標的とされた。一方、イランのアラーグチー外相はNBCの取材に「1〜2名の司令官を失ったが、ほぼ全ての高官は無事」と語った。また、南部ミーナーブの女子小学校への攻撃で108名が死亡したとイラン側は発表しており、民間人犠牲をめぐり国際的な非難が高まっている。
ハメネイ死亡確認と権力空白
攻撃開始直後から、ハメネイ師の生死をめぐり情報が錯綜した。イランのアラーグチー外相はNBCニュースに対し「私の知る限り、最高指導者は生きている」と述べ、イラン国営タスニム通信も「ハメネイ師は毅然として指揮を執っている」と報じた。しかしイスラエルのチャンネル12は安全保障筋の情報として「ハメネイ師が死亡した可能性がある」と報道。CNNは「イスラエル側がハメネイ師の遺体写真を入手した」と2つの情報筋から確認した。ネタニヤフ首相も「ハメネイ師がもはや我々とともにいないことを示す多くの兆候がある」と述べた。
トランプ大統領はTruth Socialで「ハメネイ — 歴史上最も邪悪な人物の一人 — は死んだ」と投稿。NBCの取材には「判断を下すすべての人物のほとんどがいなくなった」と語った。
そして3月1日(日曜日)朝、イラン国営放送IRIBがハメネイ師の死亡を公式に確認した。アナウンサーは涙を流しながら声明を読み上げ、「イランの最高指導者が殉教した」と伝えた。イラン国営ファールス通信は、ハメネイ師が「指導者の公邸で執務中」に攻撃を受けたと報じた。40日間の公式追悼期間が宣言された。テヘランの一部地域では歓声が上がったとCBSニュースが報じている。
ハメネイ師は1939年生まれの86歳。1989年にイスラム革命の指導者ホメイニ師の後継として最高指導者に就任し、36年間にわたりイランの最高権力者として君臨してきた。イラン憲法第111条によれば、最高指導者の死亡時には大統領・司法府長官・護憲評議会の法学者による3名の暫定評議会が権限を代行し、専門家会議が新たな最高指導者を任命する。
⚠ 注意
本記事の内容は3月1日午前(日本時間)時点の情報に基づいている。イラン情勢は極めて流動的であり、記載内容は急速に変化する可能性がある。各国政府の公式発表と主要国際メディアの続報を注視されたい。
ホルムズ海峡封鎖と湾岸諸国への波及
アメリカ・イスラエルの攻撃に対し、イランは即座に大規模な報復を実施した。イスラム革命防衛隊(IRGC)は、湾岸6カ国に所在するアメリカ軍基地に対してミサイル・ドローン攻撃を行った。標的となったのは、カタールのアル・ウデイド空軍基地(アメリカ中東最大の空軍拠点)、UAEのアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ海軍第5艦隊司令部、クウェートのアリ・アル・サレム基地、サウジアラビア、ヨルダンの各米軍施設である。UAE・アブダビでは1名が死亡、バーレーンでは住宅ビルに直撃。サウジアラビアのリヤド近郊にある米空軍基地にも着弾が確認された。
アラーグチー外相はイラクの外相に対し「イランの反撃はアメリカの基地に向けたものであり、受入国に向けたものではない。これは自衛権の行使だ」と説明した。しかし湾岸諸国は一斉にイランを非難。サウジアラビアは「残忍なイランの侵略」と断じ、カタール、UAE、バーレーン、クウェートのいずれも主権侵害を訴え、報復の権利を留保すると表明した。カタール、UAE、バーレーン、クウェートの4カ国は領空を閉鎖し、教育機関をオンライン授業に切り替えた。
そして最も重大な動きとして、イスラム革命防衛隊がホルムズ海峡の「通過禁止」を通告した。イラン国営の半公式メディアは海峡が「事実上閉鎖された」と報じ、航行中の船舶に対してイラン海軍から無線で通過禁止の警告が発せられていることをEU海上ミッションの当局者がロイターに確認した。これを受け、複数の石油会社・商社がペルシャ湾経由の原油・燃料輸送を一時停止した。
ホルムズ海峡は世界の海上石油貿易の約25%、日量約2,000万バレルの原油が通過する世界最重要のチョークポイントである。カタールのLNG(液化天然ガス)輸出のほぼ全量もこの海峡を経由しており、世界のLNG取引の約20%に影響する。JPモルガンは完全封鎖の場合に原油価格が120〜130ドル(現在の73ドルから約70%上昇)に達すると推計。ロンバー・オディエ(スイスの投資銀行)は一時的に100ドル超への急騰を予想している。長期封鎖の場合、世界不況の確率は75%を超えるとの分析もある。
日本にとっての影響は甚大である。日本の原油輸入の約90%は中東に依存しており、そのほぼ全量がホルムズ海峡を通過する。LNGについてもカタール・UAEからの輸入分がリスクにさらされる。封鎖が長期化すれば、電力コスト、燃料費、物流費の上昇を通じて製造業・運輸業を直撃し、消費者物価にも波及する。攻撃が週末に行われたため市場はまだ反応していないが、3月2日(月曜日)のアジア市場オープンが最初の試金石となる。
ポイント:サウジアラビアは攻撃に先立ち、2月24日に日量730万バレル(3年ぶりの高水準)を出荷しており、封鎖を事前に見越した動きとの見方がある。イラク、クウェート、UAEも1月比で日量60万バレルの増産・出荷を行った。
ハメネイ後のイラン — 3つのシナリオ
36年間にわたりイランの最高権力者であったハメネイ師の死亡は、イスラム共和制の根幹を揺るがす事態である。今後のイランについて、3つのシナリオが考えられる。
シナリオ1:IRGC(革命防衛隊)による軍事政権化 — ハメネイ師の死後、最も有力視されているのがIRGCの権力掌握である。IRGCは憲法上の後継プロセスを形式的に維持しながらも、実質的な支配を確立する可能性がある。この場合、対外強硬路線は継続し、ホルムズ海峡封鎖の長期化、代理組織を通じた地域紛争の拡大が予想される。経営への影響は最も深刻で、中東リスクプレミアムの恒常化が懸念される。
シナリオ2:後継者選出と体制維持 — 憲法の規定に従い、専門家会議が新たな最高指導者を選出するシナリオ。ハメネイ師の息子モジタバー・ハメネイ師が後継候補として取り沙汰されてきたが、イスラエルの情報評価では攻撃を生き延びたとされる。アリー・ラリジャーニ(最高国家安全保障会議書記)が文民側の最有力者として浮上している。体制が維持されれば、交渉による紛争終結の余地が残る。
シナリオ3:体制動揺と民衆蜂起 — 2025年末からの大規模反政府デモがハメネイ師の死を契機にさらに拡大し、体制そのものが崩壊に向かうシナリオ。トランプ大統領とネタニヤフ首相はともに「イラン国民が自らの運命を手にする」ことを公然と呼びかけており、テヘランでは攻撃後に歓声が上がったとの報道もある。しかし、体制崩壊は一時的な権力空白と治安悪化をもたらし、中東全域のさらなる不安定化につながるリスクがある。イランのパフラヴィー朝最後の皇太子レザー・パフラヴィーは「国民の側に立て。さもなければハメネイの船とともに沈む」と治安機関に呼びかけた。
経営者が注視すべきポイント
- ホルムズ海峡封鎖の「期間」が最重要変数。数日で解除されれば原油価格は80ドル前後で安定する可能性があるが、1カ月以上の長期化なら世界不況リスクが急上昇
- 3月2日(月)のアジア市場オープン時の原油先物・為替動向を注視。原油+5〜10ドル、円高方向への振れが初期予想
- 中東に駐在員を抱える企業は安全対策の即時見直しが必要。湾岸4カ国の領空閉鎖で帰国便の確保が困難になる可能性
- エネルギー調達の多角化(中東依存度の低減)を中長期的な経営課題として再認識すべき局面
国際情勢・地政学
今週の焦点
今週は「3つの戦争が同時にエスカレーションした異例の1週間」であった。アメリカ・イスラエルによるイラン攻撃が圧倒的な焦点であるが、ウクライナ紛争の開戦4年目、パキスタンとアフガニスタンの全面衝突、そして南シナ海での既成事実化の加速など、複数の危機が同時進行している。
1. ウクライナ・ロシア戦争:開戦4年目の現実 — 数字が語る消耗戦
2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻は開戦から丸4年を迎えた。CSIS(戦略国際問題研究所)の推計によれば、ロシア軍の損失は累計約120万人(うち死者約32万5,000人)、ウクライナ側は累計約60万人(うち死者約14万人)に達している。ロシアは2025年の1年間でウクライナ領土の0.8%を追加占領したにとどまり、ウクライナ領土全体の約20%を支配下に置いている状況は大きく変わっていない。
トランプ政権の仲介により、アブダビやジュネーブで和平交渉が断続的に行われているが、ゼレンスキー大統領は「領土問題で前向きな動きはない」と述べている。一方、ウクライナは新型弾道ミサイルFP-7(射程200km)を公開し、戦力の近代化を進めている。ロシア黒海艦隊は旗艦モスクワを含む25隻以上を喪失しており、制海権の喪失は顕著である。
💼 経営インパクト
欧州を中心に防衛産業へのシフトが加速している。日本の防衛関連企業(三菱重工業、川崎重工業、IHI等)にとっては受注拡大の機会となりうる。一方、イラン情勢と連動した場合、欧州のエネルギー調達不安が再燃し、欧州進出企業のコスト上昇リスクも視野に入る。
2. 東南アジア:南シナ海、既成事実化が加速する静かなエスカレーション
中東の危機に世界の注目が集まるなか、南シナ海では「静かなエスカレーション」が進行している。ベトナムがスプラトリー(南沙)諸島で21の施設を建設中であることが衛星画像で確認された。3.2kmの滑走路を含む大規模なインフラ整備であり、軍事利用の可能性が指摘されている。一方、中国はパラセル(西沙)諸島のアンテロープ礁で新たな埋め立て工事を開始した。
2026年のASEAN議長国フィリピンは、南シナ海行動規範(COC)の2026年末までの締結を目標に掲げている。しかし中国とベトナンの双方が「話し合いながら建設する」という並行戦略を採っており、交渉の実効性には疑問が残る。ミャンマーでは軍事政権が2026年1月に実施した選挙をASEANが承認せず、地域の政治的不安定も続いている。
💼 経営インパクト
ASEAN地域に生産拠点を持つ企業にとっては、海上保険料の上昇と「地政学プレミアム」の上乗せが中期的なコスト増要因となる。特にホルムズ海峡とバブ・エル・マンデブ海峡の同時リスク上昇は、アジア向けエネルギー・原材料輸送の二重のボトルネックとなりうる。
3. 朝鮮半島・東アジア:尹錫悦前大統領に内乱罪で終身刑判決
2月19日、韓国の裁判所は尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領に対し、内乱罪で終身刑の判決を下した。2024年12月3日に発令した戒厳令が発端であり、金容鉉(キム・ヨンヒョン)元国防相にも30年の刑が言い渡された。この判決は韓国民主主義の歴史において画期的な出来事であり、法の支配が最高権力者にも及ぶことを示した。
2025年6月の大統領選で圧勝した李在明(イ・ジェミョン)大統領(共に民主党)のもと、韓国経済は堅調でKOSPI指数は5,000を突破したが、新政権と与党内の亀裂が2026年に入り表面化している。日韓関係については、高市早苗首相の対中強硬姿勢と李在明大統領の外交路線との間にねじれが生じる可能性がある。
💼 経営インパクト
韓国の政治リスクは半導体サプライチェーンに直結する。サムスン電子・SKハイニックスに依存する日本のエレクトロニクス・自動車メーカーは、調達先の多角化を改めて検討すべきタイミングである。
4. 米中関係・インド太平洋:イラン攻撃で鮮明化する大国間の分断線
今週のイラン攻撃は、米中ロ三大国の対立構図をさらに鮮明にした。ロシアのラブロフ外相は攻撃を「計画的で無謀な武力侵略」と非難し、イランとの連帯を表明。中国は「深い懸念」を表明し、軍事行動の即時停止を要求した。報道によれば、中国はイランに攻撃用ドローンやCM-302超音速対艦ミサイルを供給しており、イランの報復能力を裏で支えている構図が浮かぶ。
一方、イギリス・フランス・ドイツの首脳は共同声明で交渉再開を要求。イギリスはカタールの基地防衛にタイフーン戦闘機を配備したが、攻撃そのものには参加していない。オーストラリアとカナダはアメリカを支持した。国連安全保障理事会はバーレーンとフランスの要請で緊急会合を開催したが、ロシアと中国の反対により実質的な決議には至っていない。
日本の高市首相は2月28日にイラン情勢に関する緊急記者会見を行った。高市政権は2025年11月の台湾有事への日本関与可能性発言以来、対中強硬姿勢で知られるが、イラン情勢では中東エネルギー依存という日本の脆弱性を突きつけられる形となっている。
💼 経営インパクト
対中規制の強化が加速する可能性がある。中国のイランへの武器供給が明るみに出たことで、アメリカが対中二次制裁を拡大する口実となりうる。中国との取引が大きい日本企業は、サプライチェーンの再編コストを織り込む必要がある。
5. 南アジア:パキスタンとアフガニスタン — 1週間で全面衝突へ
2月21日、パキスタン軍がアフガニスタン国内のTTP(パキスタン・タリバン運動)およびISIS-Kの拠点を空爆した。これはイスラマバードのシーア派モスクでの自爆テロ(36名死亡)への報復とされる。アフガニスタンのタリバン政権はパキスタンの空爆で民間人18名(うち子供11名)が死亡したと主張し、2月26日に報復攻撃を開始。翌27日にはパキスタンが「公然たる戦争」を宣言し、「ガザブ・リル・ハク(神の怒り)作戦」を発動してカブールを空爆した。
パキスタン側はタリバン戦闘員274名を殺害し73拠点を破壊したと発表。アフガニスタン側はパキスタン兵55名を殺害、19拠点を破壊したと主張している。タリバン最高指導者ヒバトゥラー・アクンザダ師の死亡を示唆する未確認報道もあるが、確認されていない。
核保有国パキスタンが隣国アフガニスタンと公式に「戦争状態」に入ったことは、国際社会の注目がイランに集中するなかで見落とされがちだが、南アジアの安全保障環境を根本的に変える事態である。
💼 経営インパクト
パキスタンに拠点を持つ日本企業は多くないが、テロリスクの地域的拡散に注意が必要。アフガニスタンからのテロ組織の流出は、中央アジア・南アジア全域の治安に影響する。駐在員の安全対策と出張制限の見直しを推奨する。
今週の経営リスク総括
来週の注目ポイント
来週の重要イベント
来週の注目シナリオ
楽観シナリオ:ホルムズ海峡の封鎖が数日で解除され、イランとアメリカの間で停戦交渉が始まる。原油価格は80ドル前後で安定。市場の動揺は一時的にとどまる。
基本シナリオ:攻撃は数日間継続し、ホルムズ海峡は1〜2週間にわたり部分的に封鎖される。原油価格は90〜100ドルに上昇。イラン国内ではIRGCが実質的な統制を強化するが、国際社会の仲介(中国・オマーン・トルコ等)で段階的に緊張が緩和に向かう。
悲観シナリオ:イランの報復がエスカレートし、ホルムズ海峡の完全封鎖が長期化。イランの代理組織(フーシ派など)が紅海でも活動を活発化させ、世界の2大海上チョークポイントが同時に機能不全に陥る。原油価格は120〜130ドルに急騰し、世界的なインフレと景気後退の引き金となる。
参考情報源
CNN、Reuters、Bloomberg、Al Jazeera、BBC、The Wall Street Journal、Financial Times、The Times of Israel、Axios、CBS News、Fox News、The Hill、Middle East Eye、CSIS、CFR、NHK、日本経済新聞、時事通信、首相官邸ホームページ、Envato Elements、Seoul Economic Daily、Washington Examiner、Al Arabiya、Türkiye Today、Pravda EN