ニュースマーケット・相場観
イラン戦争でペトロダラーに綻び、中国の人民元が石油貿易の代替通貨として台頭

イラン戦争の長期化に伴い、石油取引における米ドル支配、いわゆる「ペトロダラー体制」に亀裂が生じつつあるとブルームバーグが報じた。ロシア産原油をルーブルや人民元で決済する動きがすでに定着している中、中東の混乱を機に中国人民元での石油貿易が中央アジアや東南アジアの一部諸国にも広がりつつある。ドイツ銀行はイラン戦争がペトロダラーの転換点になる可能性があると指摘している。
人民元建て石油取引の拡大を後押ししているのは、アメリカが対イラン制裁を強化し中東産原油へのドル建て決済を事実上制限してきた経緯がある。中国は上海国際エネルギー取引所(INE)を通じた人民元建て原油先物取引を拡大しており、サウジアラビアとの間でも人民元決済の一部導入について協議を継続している。
ペトロダラーの弱体化はアメリカの財政・金融覇権の根幹に関わる問題であり、連邦準備制度理事会は世界的なドル需要の後退がアメリカの国債金利に及ぼす影響を注視している。国際通貨基金は2026年の報告書で「ドルの基軸通貨としての地位は揺らいでいないが、多極化は着実に進んでいる」と分析した。