スタートアップ・M&A・資本政策
金融政策・株式・為替・暗号資産など、経営判断に役立つマーケットニュースをAIが要約してお届けします
アメリカの食料品配達大手Instacartが会社の売却を検討し、UberやDoorDashと予備的な協議をしている。関係者の話としてThe Informationが23日に報じ、Reutersが伝えた。投資銀行が選択肢の検討を手伝っている。協議は続いているが、取引にいたる保証はないという。 報道を受けて、Instacartの株価は約9%上がり、時価総額は約120億ドルとなった。一方で、Uberは3%近く、DoorDashは4%あまり下げた。New York Postは、30〜40%の上乗せで買収されれば価格は160億〜170億ドル程度になると試算した。 DoorDashは2021年にもInstacartの買収を協議したが、独占禁止法の審査への懸念もあって実現しなかった。食料品の配達では大手の再編が進んでおり、小売りや食品の企業は、配達や広告を委ねる相手の力関係の変化に備えたい。
イギリスの医療機器大手Smith & Nephewが、Johnson & Johnsonの整形外科部門と合併を協議していたが、合併後の会社を誰が率いるかで折り合わず、話し合いが決裂した。Financial Timesが23日に報じ、Reutersも関係者の話として伝えた。 FTによると、協議は最終段階まで進み、主な条件と仕組みでは合意していた。Smith & Nephewは今年、この部門を最大220億ドルと評価する案を示した。自社の時価総額94億ポンドのほぼ2倍にあたる。J&Jは部門を率いるナマル・ナワナ氏を推したが、Smith & Nephewは今のディーパック・ナス最高経営責任者にこだわった。 J&Jは部門をDePuy Synthesとして切り離す計画で、2027年半ばの分離を目指している。医療機器の取引先や販売代理店は、両社の戦略の変化に注意したい。
韓国の半導体大手エスケーハイニックスは23日、アメリカの子会社Solidigmの上場の検討を止めると発表した。資本市場の状況と株価の動きを踏まえた判断だ。韓国の金融監督院は今週、Solidigmのアメリカでの上場が、少数株主を守るための重複上場の規制に反するおそれがあると指摘していた。 エスケーハイニックスの株価は一時3%下げたが、その後3.2%高に転じた。eToroのアナリストは「株主が求めていた結果だ」と述べた。Solidigmの今の工場では人工知能向けのメモリーの需要に追いつかず、アメリカでの新工場の資金をどう集めるかが課題になる。 エスケーハイニックスは、Solidigmの投資の必要は変わらず、ほかの資金調達の方法を探ると説明した。来週の決算発表を控え、自社株買いや配当を保ちながら成長の資金をどう確保するかが焦点となる。メモリーの増産計画は、取引のある企業の調達にも響く。

イーロン・マスク氏が、メディア大手Skydanceに約10億ドルを出資した。関係者の話としてCNBCが伝えた。Semaforが最初に報じた。ParamountがWarner Bros. Discoveryの買収を10月6日に完了し、統合後の会社をSkydanceと名付けた。 デビッド・エリソン氏らの共同最高経営責任者は、2つの映画会社と、Paramount+とHBO Maxの2つの動画配信を統合する。Skydanceは3年で60億ドルの費用削減を見込むが、負債は約800億ドルにのぼる。マスク氏の出資は、株式での資金集めの一環だという。 エリソン氏の父でOracleの共同創業者のラリー・エリソン氏は、マスク氏の2022年のTwitter買収に10億ドルを出し、Teslaの取締役も務めた。メディアと技術の大物の結びつきは、動画配信や広告の業界の再編の行方にも影響しそうだ。
Meta Platformsが21日に発表した7〜9月期決算は、純利益が98億6000万ドルと、前年同期の27億1000万ドルから3倍を超えて増えた。売上高は26%増の646億ドルで、市場予想の633億4000万ドルを上回った。APが伝えた。 取締役会は、議決権のない上場のクラスC普通株式を1月に新設することを承認した。人工知能の基盤への投資の資金を集めやすくする狙いで、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者の支配力を薄めずに資金を調達できる。2026年の設備投資の見通しは1350億〜1450億ドルに絞った。 株価は時間外取引で2.9%上がった。一方、ニューメキシコ州の裁判所は21日、利用者のプライバシーをめぐり欺いたとして、Metaに250億ドルの支払いを命じた。人工知能への投資を続けるための資金の集め方は、ほかの大手企業の資本政策にも影響しそうだ。

スウェーデンの投資会社EQTは21日、遺伝子の検査や分析の技術を手がけるQiagenを約96億ユーロ(約107億8000万ドル)で買収すると発表した。1株あたり46.50ユーロで、直前の終値に8.6%上乗せした。アブダビ投資庁とカナダ年金制度投資委員会の関連会社も加わる。Reutersが伝えた。 純負債を含めた評価額は約121億ドルで、買収の完了は2027年半ばの見込み。Qiagenは2020年にThermo Fisher Scientificによる約115億ドルの買収に合意したが、株主の支持が足りず実現しなかった経緯がある。 分子検査の技術への需要が高まるなか、プライベート・エクイティによる買収がこの分野で増えている。Qiagenは買収の手続き中として、2026年の通期の見通しを取り下げた。医療や研究の分野で取引のある企業は、経営の方針の変化を注視したい。

イーロン・マスク氏は20日、自身が率いる宇宙企業SpaceXと電気自動車大手Teslaの合併について「良い考えだ」と述べ、両社が合併を話し合う特別委員会を設けたことを明らかにした。両社が正式に協議していると認めたのは初めてで、SpaceXの株価は時間外取引で8%上がった。 SpaceXは同じ日に、上場企業として初めての黒字となる7〜9月期の決算を発表した。売上高は前年同期比161%増の145億8000万ドルで、人工知能の売上高は約10倍の75億6000万ドルに伸びた。データセンターの能力をAnthropicやGoogleなどに貸し出す事業が伸びている。 マスク氏はTeslaの株の約5分の1、SpaceXの半分弱を持つ。自身は利害が対立するため協議に加わらず、条件はまだ決まっていないとして、合併を前提にするのは早いと述べた。実現すれば、人工知能や半導体をめぐる競争の構図を変えうる。

人工知能のClaudeを開発するAnthropicが、新規株式公開に向けて当局に出した書類の草案で、2026年1〜6月の純損失が800億ドルを超えたことが分かった。WSJが報じた。前年同期の130億ドルから大きく膨らんだ。 損失の主な要因は、資金の調達で発行した転換社債などの評価の変動に伴う720億ドルの会計上の費用だった。売上高は前年同期の11億ドルから163億ドルに急増し、人工知能のインフラへの支出も4倍近い約90億ドルになった。今後、計算能力の確保に最大7500億ドルを使う可能性も示した。 Reutersによると、先週の投資家向けの説明会に出た投資家の一部は、11月の上場時の企業価値を、従来見込まれた約2兆ドルより低い約1兆5000億ドルで検討している。巨額の投資が利益に結びつくかに市場の目が向いており、人工知能関連の取引や投資の判断にも影響しそうだ。
フィリピンの決済アプリGCashを運営するMyntが20日、フィリピン証券取引所に上場した。新規株式公開で609億ペソ(約9億6700万ドル)を調達し、フィリピンで過去最大となった。初値は公開価格の6.60ペソを上回る6.63ペソで、その後6.71ペソまで上がった。 Myntには通信大手のGlobe TelecomやAyala、中国のAnt Groupが出資している。GCashは決済や送金、融資、保険などを手がけるフィリピン最大の金融アプリで、4〜6月の月間利用者は4150万人と、成人の約56%にあたる。利用者の約9割は低・中所得の世帯だ。 韓国のEliceが同じ日の上場で急落するなど、人工知能関連株の売りで投資家は新規上場に慎重になっている。そのなかでの値上がりは、新興国の決済事業への需要の強さを示した。東南アジアで事業を広げる企業にとって、現地の金融インフラの広がりは商機になる。

インドの通信大手Jio Platformsの新規株式公開で、上場前に大口の機関投資家に割り当てる枠に、募集の30倍を超える2兆5000億ルピー(約263億ドル)の申し込みが集まった。BlackRockやCapital Group、シンガポールのGICなどが応じた。 Jio Platformsは最大3020億ルピー(約32億ドル)を調達する計画で、ルピー建てでインド史上最大の新規株式公開となる。機関投資家の枠では、価格帯の上限の1株1119ルピーで7247万株を割り当てた。一般の投資家からの申し込みは21日から23日まで受け付ける。 公開価格での企業価値は約1080億ドルで、1年前に取り沙汰された1300億ドル超を下回る。親会社のReliance Industriesは、通信会社ではなくテック企業としての評価を求めている。海外勢のインド株売りが続くなかでも、大型案件に資金が集まった。
スイスの電機大手ABBは20日、三菱電機が切り出す低圧の配電機器事業と合弁会社をつくり、51%の株式を握ると発表した。取得額は790億円(約4億9500万ドル)で、日本国外の関連する販売事業もすべて取得する。中期的に全株を取得できる権利も持つ。 対象の事業は遮断器や開閉器、無停電電源装置などを手がけ、2026年3月期の売上高は約1020億円。従業員は約2800人で、広島県福山市とベトナムのハノイに工場を持つ。事業全体の企業価値は約8億9000万ドルと評価され、取引の完了は2027年後半の見込みだ。 ABBは日本で手薄だった配電機器の事業の足場を固め、アジア太平洋での成長を狙う。三菱電機は、ABBの世界の販売網を生かして事業を伸ばすとしている。データセンターや工場の電力設備の需要が伸びるなか、配電機器の調達先の選び方にも影響しそうだ。
オーストラリアの廃棄物処理大手Cleanawayは、スウェーデンの投資会社EQTに買収されることで合意したと発表した。買収額は負債を含めて約93億豪ドル(約65億ドル)となる。株主は1株あたり3.095豪ドルの現金を受け取る。 この価格は、EQTが8月に示した1株3.13豪ドルの提案から、10月8日に支払った期末配当を差し引いたものだ。EQTの接近が明らかになる前の8月12日の終値に32.1%上乗せした水準にあたる。発表を受けて株価は20%近く上がり、2011年10月以来の大きな上げとなった。 Cleanawayの取締役会は全会一致で株主に賛成を勧めている。廃棄物処理やリサイクルは景気に左右されにくく、安定した収益を見込めるインフラ事業として投資ファンドの関心が高い。オーストラリアでは割安な企業への買収が相次いでいる。
第一生命ホールディングスのオーストラリアの子会社は、オーストラリアの資産運用会社Challengerに対し、まだ持っていない約79%の株式を買い取る提案をした。1株11.80豪ドルで、Challengerの企業価値は79億4000万豪ドル(約55億3000万ドル)となる。 提案価格は、前週末の終値に19.8%上乗せした水準だ。第一生命の子会社はすでに20.36%を持つ筆頭株主で、2025年4月にMS&ADインシュアランスグループから15.1%を取得していた。発表を受けてChallengerの株価は15%超上がり、2018年10月以来の高値をつけた。 提案は法的な拘束力のない段階で、資産の精査などが条件となる。Challengerの取締役会は提案を検討中としている。国内の人口減少で保険市場が伸び悩むなか、日本の生命保険会社が年金や運用の事業で海外の成長を取り込む動きが改めて鮮明になった。
ソフトバンクグループが、アメリカの警備サービス大手Allied Universalの買収を検討していることが分かった。Bloombergが関係者の話として報じ、Reutersは企業価値が約180億ドルになる可能性があると伝えた。Financial Timesは負債を含め300億ドル近くとした。 Allied Universalは世界最大の民間警備会社で、イギリスのG4Sも傘下に持つ。企業や催しの警備に人を派遣し、データセンターの建設や運営の支援も広げている。ソフトバンクグループは将来、警備の仕事の一部をロボットに置き換えることを視野に入れているという。 協議は初期の段階で、価格を含めて何も決まっていない。孫正義(そん・まさよし)会長兼社長はロボットへの投資を強めており、54億ドルのABBのロボット事業の買収は中国の承認待ちとなっている。人手に頼る警備業の自動化が進むかが注目される。
イタリアの銀行大手UniCreditは15日、欧州中央銀行の承認を得て、ドイツのCommerzbankを支配下に置けるようになったと発表した。7月に終えた敵対的な買収の提案で、UniCreditの持ち分は48%に達していた。欧州中央銀行は30%を超える保有と、上限なしの買い増しを認めた。 買収の提案の総額は450億ユーロで、世界金融危機の後では欧州で最大の国境を越えた銀行の再編となる。UniCreditは、残る規制の手続きを終え、年末までに議決権の約50%を握る見通しだ。Commerzbankとドイツ政府は買収に強く反対してきた。 オーセル最高経営責任者は、Commerzbankに自らの描いた収益の改善策を採るよう求めている。欧州の銀行の大型の再編が進めば、取引先の企業にとっては融資の条件や取引の窓口が変わる可能性がある。

住友生命保険の高田幸徳(たかだ・ゆきのり)社長は、東南アジアとアメリカで企業の買収を検討していると明らかにした。シンガポールでのBloombergの取材に「日本は人口が減っており、成長を取り込むのは難しい」と述べ、収益の多様化を急ぐ考えを示した。 高田社長によると、2029年3月までの中期計画で最大1兆円を投資に充てる。シンガポールの子会社シングライフと、アメリカの子会社シメトラを通じて買収先を探す。シンガポールではインカム・インシュアランスが候補の一つで、シングライフを国内の生命保険の上位3社に入れる目標を掲げる。 国内の生命保険会社は海外での買収を広げている。明治安田生命保険は今年、23億ドルでアメリカのリーガル・アンド・ジェネラル・アメリカを買収し、日本生命保険も昨年オーストラリアのリゾリューション・ライフを買収した。人口減少に向き合う国内企業の成長戦略の一例となる。

人工知能を開発するアメリカのAnthropicは、7〜9月期の売上高が前の四半期から約45%増えて168億ドルになったと投資家に説明した。Financial TimesとBloombergが関係者の話として報じた。11月にも予定する新規株式公開(IPO)を前に、サンフランシスコの本社で説明会を開いた。 Anthropicは、調整後の損益で2四半期続けて黒字となり、現金の収支も黒字だったと説明した。計算資源に1ドル使うごとに1.70ドルの売上を得ているという。一方で、伸びは年初の急拡大から鈍っており、年換算の売上高は節目の1000億ドルに届かない見通しだとされる。 ChatGPTを手がけるOpenAIとの開発競争に加え、安くて性能の高い中国の人工知能モデルとの競合もある。人工知能関連株の売りが広がる中で、大型上場が投資家にどう評価されるかは、関連投資の先行きを占う材料になる。

高級ヴィラを運営するNOT A HOTELが、早ければ12月に東京証券取引所への新規株式公開(IPO)を計画していることが分かった。Bloombergが関係者の話として報じた。野村ホールディングスと上場の準備を進めているという。 NOT A HOTELは中国の投資会社Hillhouseが出資する企業で、宮崎県の「NOT A HOTEL AOSHIMA」などの高級ヴィラを手がける。検討は続いており、上場の時期などの詳細は変わる可能性がある。NOT A HOTELと野村ホールディングスはコメントを控えた。 日本の新規上場は今年、件数・規模ともに低調が続いており、実現すれば今年の大型案件の一つになる可能性がある。上場での評価や集める資金の額は、国内の高級観光や不動産への投資の勢いを測る材料になりそうだ。
オムロンは13日、アメリカの産業用パソコンメーカーOnLogicと親会社のInterLogicを、6億7500万ドル(約1070億円)で買収すると発表した。InterLogicはオムロンの完全子会社となり、OnLogicはブランドと今の経営陣を残したまま、独立した事業として運営を続ける。 狙いは、工場の自動化事業で、ロボットや製造装置を現場で動かす人工知能のサービスを育てることにある。OnLogicが開発・製造する産業用パソコンに、オムロンの高精度な制御技術を組み合わせて基盤をつくり、アメリカでの顧客拡大も目指す。 オムロンのアメリカ子会社は5月、イタリアの自動化企業Comauと製造現場の自動化で協業する契約を結んでいる。13日の東京市場でオムロン株は朝方ほぼ横ばいで、日経平均株価が2%余り下げる中で底堅さを見せた。
NVIDIAが出資するオーストラリアのデータセンター運営会社Firmusは10月9日、50億ドル規模の新規株式公開(IPO)を見送ると発表した。実現すればオーストラリア史上2番目の大型上場だったが、需要が伸び悩んだ。今後は非公開市場で資金を調達し、Nasdaqへの上場も視野に入れるという。 Firmusは人工知能向けデータセンターを手がけ、NVIDIAやCoatue Management、Blackstoneなどが出資する。当初は1株11オーストラリアドルで売り出し、時価総額306億ドルを想定していたが、8月の資金調達時の105億ドルの約3倍という評価額に投資家が慎重姿勢を示した。 人工知能ブームが市場をけん引する中でも、投資家が人工知能関連企業の選別を強めていることを示す事例となった。後続のデータセンター関連の上場案件にも影響が及びかねない。

日本の新規株式公開(IPO)市場の低迷が鮮明になっている。10月9日に公表された集計によると、今年1〜9月の新規上場件数は32件と、同期間として2012年以来の低水準となった。タクシー配車アプリのGOなどが上場したものの、調達額も4年ぶりの低水準に落ち込んだ。 アジア全体では人工知能関連企業を中心に資金調達が活況を呈しており、日本の停滞は際立つ。中国のように投資家の期待を集める人工知能関連の新興企業が日本では育っていないことに加え、東京証券取引所がグロース市場の上場維持基準を引き上げる方針を示したことも、上場計画の見直しを促している。 新興企業にとっては、上場を急がず非公開市場で成長資金を確保する選択肢の重要性が増している。ベンチャーキャピタルやプライベート・エクイティの出口戦略にも、合併・買収の活用など転換が求められる。
シンガポールを拠点とするデータセンター運営会社DayOne Data Centersが、アメリカでの新規株式公開を申請した。2026年1〜6月期の売上高は5億1200万ドルと前年同期の1億5150万ドルから急増した一方、純損失は7720万ドルと前年同期の1260万ドルから膨らんだ。 DayOneはクラウドや人工知能の顧客向けにデータセンターを長期契約で提供し、東南アジアや日本、欧州などで事業を展開する。シャンハイに本拠を置くGDS Holdingsの海外部門が前身で、2025年1月に現社名となった。 調達額は開示されていないが、Reutersは2月、評価額200億ドルで最大50億ドルの調達を目指していると報じていた。Nasdaqへの上場を予定し、Morgan Stanleyなどが引受を担う。大型上場の延期が相次ぐなか、市場の需要を測る試金石となる。
投資会社KKRは、プライベート・エクイティなどのファンド運営を支える管理会社Gen II Fund Servicesを、負債を含め51億ドルで買収すると発表した。売り手は投資会社のHgとGeneral Atlanticなどで、両社は2020年にGen IIへ出資していた。取引は2027年に完了する見通し。 Gen IIはプライベート・エクイティやプライベート・クレジットの運用会社向けに、税務やコンプライアンス、資金管理、テクノロジーのサービスを提供している。顧客は275社超、対象のファンド資産は2兆ドル超に上る。共同創業者のスティーブン・ミルナー最高経営責任者が引き続き経営を担う。 KKRは5月にも、代替資産運用会社に資金を提供するArctosを約14億ドルで買収しており、プライベート市場を下支えする事業への投資を加速させている。非上場市場の拡大で、運用の裏方業務を巡る争奪戦が続きそうだ。

日本のエレベーター大手が、ドイツのTK Elevatorの欧州事業の買収に向けた検討を進めていることが分かった。事情に詳しい関係者によると、三菱電機などが入札参加を視野に入れている。フィンランドのKoneは4月にTK Elevatorを294億ユーロで買収することで合意しており、独占禁止法上の懸念解消へ欧州事業の売却を計画している。 TK Elevatorの欧州売上高は年間約25億ユーロで、全体の約27%を占める。売却手続きは今秋にも始まる見通しで、買収ファンドも関心を示しているとされる。Koneは年7億ユーロのシナジー目標を維持するとしている。 実現すれば、Bloombergの集計で今年すでに約350億ドルに達した日本企業による海外買収がさらに積み上がる。国内市場が成熟するなか、欧州の保守・サービス基盤を取り込み収益を安定させる動きとして注目される。

フランスの電機大手Schneider Electricは5日、アメリカの産業用ソフトウェア大手PTCを買収すると発表した。1株205ドルの全額現金で、株式価値は約226億ドル、負債を含む企業価値は約237億ドルとなる。直近終値に対するプレミアムは42.3%で、両社の取締役会が全会一致で承認した。 PTCは製造業向けの設計・製造ソフトウェアを手掛ける。Schneider Electricは傘下のAVEVAや買収手続き中のCogniteと組み合わせ、設計から設備運用、エネルギーデータまでをつなぐ狙いだ。3年目までに年8億ユーロの売上シナジーと2億5000万ユーロのコスト削減を見込む。 買収資金は50億〜60億ユーロの株式発行と160億〜170億ユーロの新規借り入れで賄い、完了は2027年第3四半期までを予定する。人工知能需要を背景に、産業機器大手によるソフトウェア企業の取り込みが加速している。

日本ペイントホールディングスは5日、オランダの塗料大手AkzoNobelから東南アジアなどの建築用塗料事業を13億5000万ドルで買収すると発表した。対象はベトナムやインドネシア、タイ、オーストラリアなど7カ国の事業で、完了後は利益を押し上げるとしている。 日本ペイントは以前、AkzoNobelの建築用塗料事業全体を75億ユーロで取得する提案を複数回行ったが拒否されていた。6月にはアメリカのSherwin-Williamsと共同で進めたAkzoNobel全体への125億ユーロの買収提案も撤回しており、今回は地域を絞った形での獲得となる。 AkzoNobelは税金などを差し引いた純手取り額を約10億ドルと見込む。インドネシア事業は2026年末、残りは2027年半ばごろの完了を予定する。AkzoNobelはアメリカのAxaltaとの統合を控え、アジア事業の見直しを終えた。
アメリカの半導体大手onsemiは1日、6月に合意したSynaptics買収の条件を見直し、1株123ドルの全額現金で取得すると発表した。株式を対価とした当初案の約70億ドルから、買収総額は約57億ドルに縮小した。Synapticsが第三者から一方的な対抗提案を受け、両社が合意を改定した。 onsemiは手元資金と、Morgan Stanleyが確約した24.5億ドルのタームローンで資金を賄う。株式発行が不要になり、買収完了直後から調整後1株利益を押し上げる見込みだという。年2億ドル超の相乗効果も見込む。 発表を受けた時間外取引で、Synaptics株は約13%、onsemi株は約5.7%上昇した。アメリカの独占禁止法上の事前審査は完了しており、Synaptics株主の承認などを経て2027年半ばの完了を目指す。人工知能データセンターやエッジコンピューティング分野の強化が狙い。

青森みちのく銀行を傘下に持つプロクレアホールディングス、岩手銀行、秋田銀行の3社は2日、経営統合に向けた協議入りを各社の取締役会に諮ると発表した。3行は隣接する3県を地盤とする有力地銀で、統合が実現すれば東北を代表する大型の地銀グループが誕生する。 3行の地盤は国内でも特に人口減少が急速な地域で、顧客基盤の縮小に直面している。日本銀行の金融政策正常化に伴い預金獲得競争も激しさを増している。金融庁は地銀に対し、他行との事業統合を含む持続可能な長期戦略の策定を促してきた。 青森みちのく銀行自体も、青森県内の2行が2022年にプロクレア傘下に入り、2025年に合併して誕生した経緯がある。2日の東京市場ではプロクレア株が一時6.7%上昇し、岩手銀行と秋田銀行も3%超値上がりした。5月の愛知フィナンシャルグループと三十三フィナンシャルグループの統合計画に続く動きで、地銀再編の呼び水となる可能性がある。

半導体大手AMDは28日、人工知能研究の第一人者フェイフェイ・リー氏が創業したWorld Labsを、全額株式交換方式で約82億ドルで買収すると発表した。取引は規制当局の承認を経て年内に完了する見込みだ。AMDはWorld Labsに以前から出資していた。 サンフランシスコに拠点を置くWorld Labsは、文章や画像、動画から3次元の空間を生成・再構築する「世界モデル」を開発しており、ロボットや自動運転車など物理世界で動く人工知能への応用が期待されている。買収完了後、リー氏はAMDの執行副社長兼最高科学責任者に就き、リサ・スー最高経営責任者の直属となる。 物理世界向けの人工知能では、最大のライバルであるNVIDIAも事業拡大を進めている。AMDはモデル研究の知見を取り込み、将来の半導体やソフトウェア、システムの設計に生かす狙いだ。半導体の供給にとどまらず、研究開発に踏み込む戦略転換だ。
人工知能開発のAnthropicが準備する新規株式公開(IPO)の目論見書の内容を、Reutersが独自に入手した。2025年の売上高は前年の12倍となる約46億ドルに急拡大した一方、純損失は420億ドルに達した。うち約340億ドルは資金調達に絡む会計上の費用だった。 目論見書によると、Anthropicは今後数年間でクラウドや計算資源などのインフラ関連に5180億ドルを投じる計画だ。2025年の計算資源とインフラの費用は73億3000万ドルと前年の3倍に膨らみ、営業費用総額126億5000万ドルの半分超を占めた。 上場時の評価額は2兆ドルを超える可能性があり、5月時点で推定された9650億ドルから倍増する。上場は11月のアメリカ中間選挙後にずれ込む見通しだ。ベンチャーキャピタルや大手テック企業が資金を担ってきた人工知能開発競争に、一般投資家が加わる転機となる。

シンガポールを拠点とするアクティビスト投資家のFlashlight Capital Partnersは29日付の書簡で、警備大手セコムに対し、韓国のエスワンと台湾セコムへの出資比率を、現在の約26%から少なくとも50%に引き上げるよう求めた。 Flashlight Capitalは、両社を連結対象とすることで海外売上高比率が現在の5.4%から約28%に高まると試算する。セコムが掲げる2028年3月までの海外比率10%の目標も物足りないとし、現経営陣が計画遂行に適任かどうかの検証も求めている。 Flashlight Capitalのセコム株保有比率は1%未満だが、株価は少なくとも1万円まで見直される余地があると主張し、10月23日までに取締役会の回答を求めた。日本と韓国をまたぐ資本政策が焦点となる。
オーストラリア最大の金生産会社Northern Star Resourcesは9月28日、南アフリカの金鉱大手Gold Fieldsから受けた387億オーストラリアドル(約271億ドル)の買収提案を拒否したと発表した。成立すればオーストラリア企業を対象とする過去最大級の買収となる案件だった。 提案は株式と現金の組み合わせで、Gold Fields株の下落により価値は1株25.19オーストラリアドルに目減りし、プレミアムは14%にとどまるという。マイケル・チェイニー会長は、極めて機会主義的なタイミングでの提案だと批判した。 Northern Starには物言う株主のElliott Investment Managementが約5.6%を保有し、戦略見直しを迫っている。Elliottは取締役会が真剣な買い手と向き合うべきだと主張した。株価は一時10.6%高となり、再編をにらんだ攻防が続きそうだ。

カナダのBrookfield傘下の投資会社は16日、オーストラリアの配管部材大手Reliance Worldwideを買収する拘束力のある契約を結んだ。1株当たり3.38ドルを現金で支払い、負債を含む企業価値は約29億ドルとなる。買収価格は過去6カ月の平均株価を43%上回り、Reliance Worldwideの株価は1年ぶりの高値を付けた。 買収価格は8月に示した1株4.75オーストラリアドル相当をアメリカドル建てで固定したもので、4月以降4回目の提案で合意に至った。契約には30日間のゴーショップ条項が盛り込まれ、期間中は他社からの対抗提案を募ることができる。 Reliance Worldwideは工場閉鎖に伴う減損処理で2026年6月期の純利益が大幅に落ち込んでいた。オーストラリアではプライベート・エクイティによるM&Aが活発で、対抗する買収者が現れるかが焦点となる。

オランダの人工知能半導体スタートアップEuclydが、2億ユーロ(約2億3100万ドル)のシリーズA資金調達を実施した。サムスンがSomerset Capital Partners、EQTが運用するスケールアップ・ヨーロッパ・ファンド、Innovation Industriesとともに主導した。 2024年創業のEuclydは、画像処理半導体(GPU)とは異なる設計で、人工知能の推論処理に特化した半導体システムを開発している。データセンターの電力消費とコストの削減を掲げ、ハードウェア販売と設計技術のライセンス供与を収益源とする。 最高経営責任者は、メモリー大手のサムスンがサプライチェーンや技術面でも支援できると期待を示した。2028年に出荷を始め、2030年までに数千社の顧客獲得を目指す。NVIDIAが圧倒的な地位を築く市場で代替半導体への投資が加速しているが、大規模な商用実績はまだない。
ChatGPTを手がけるOpenAIが、スマートフォンのカメラ技術を開発するGlass Imagingを買収したことが15日、明らかになった。WSJによると買収額は3億ドルを超える。Glass Imagingは2019年にカリフォルニア州で創業し、約3000万ドルを調達していた。 創業者の2人は、Appleで背景をぼかす「ポートレートモード」の開発チームを率いた元技術者だ。撮影後に画像を加工するのではなく、機種ごとに異なるカメラの特性をニューラルネットワークで学習させ、撮影の瞬間から高画質な画像を得る技術に強みを持つ。 OpenAIはスマートフォンやイヤホンなど独自のハードウェア開発を進めているとみられている。2025年にはAppleの元デザイン責任者が関わる端末開発会社を65億ドルで買収しており、カメラ技術の取り込みで端末事業の競争力を高める狙いがうかがえる。

SoftBank Group傘下でデータセンターを開発するSB Energyが、アメリカでの新規株式公開に合わせ、日本の投資家向けに最大5億ドル分の株式を販売することが15日、提出書類で明らかになった。新株を発行し、データセンターや発電設備の開発に伴う運転資金などに充てる。 アメリカでの公開規模は明らかにしていない。9月上旬に公表された目論見書によると、NVIDIAが公開価格で15億ドルの第三者割当を引き受けることを約束し、OpenAIには約55億ドル相当の新株予約権が付与されている。SoftBank Groupは500億ドルの企業価値を目指す可能性がある。 人工知能関連企業の株式公開は相次いでおり、6月に上場したSpaceXでは日本の投資家が22億ドル分を取得した。開発減速論で前日に急落したSoftBank Group株は15日に反発し、傘下企業の上場による資金調達が改めて注目されている。

欧州最大の証券取引所運営会社ユーロネクストのステファン・ブジュナ最高経営責任者が、ドイツ取引所との大型統合に前向きな姿勢を示したことが14日、明らかになった。株式市場の事業を統合する形であれば理にかなうと述べ、完全統合の可能性も排除しなかった。両社は現時点で協議は行っていないとしている。 ユーロネクストはパリ、アムステルダム、ミラノ、アテネなど8カ国で取引所を運営する。ドイツ取引所はフランクフルト証券取引所のほか、デリバティブ取引所ユーレックスや証券決済のクリアストリームを傘下に持ち、統合には競争当局の高いハードルが予想される。 背景には、欧州の資本市場の競争力を高める議論の高まりがある。ブジュナ氏は、株式市場の結び付きを強めれば流動性が改善し、アメリカやアジアの取引所に対抗しやすくなると主張した。過去に3度統合を模索して実現しなかった経緯があり、早期の合意は見込みにくいとの見方も根強い。

アメリカのオンライン車両オークション大手Copartは10日、中古車のデジタル取引市場を運営するACV Auctionsを全額現金で買収すると発表した。買収額は約19億ドルで、1株当たり10.50ドル。買収観測が報じられる前の8月10日の終値に対し約45%の上乗せとなる。 Copartは事故車や全損車のオークションを主力としてきたが、保険会社が車両を手元に残す動きや、物価高で自動車保険を減らす消費者の増加により、取扱台数の伸びが鈍っていた。今回の買収で販売店同士が中古車を売買する卸売市場に参入し、下取りから再販までを網羅する体制を整える。 取引は年内に完了する見通しだ。発表後、ACV Auctions株は時間外取引で40%超上昇した。Copartが同時に発表した第4四半期決算は、売上高が2.4%増の11億5000万ドルと市場予想を上回った一方、1株利益は41セントから35セントに減少した。

Tencentが出資する中国の人工知能向け半導体メーカーEnflameは11日、シャンハイ証券取引所のハイテク企業向け市場に上場した。公開価格の142.18元に対し188%高の410元で初値を付け、その後は約200%高まで上昇した。新規株式公開では61億2000万元(約9億1200万ドル)を調達した。 EnflameはNVIDIAの中国における対抗馬の1社とされ、競合のMoore Threads、MetaX、Biren Technologyに続く上場となった。アメリカが先端半導体の中国向け輸出を制限するなか、中国政府は半導体の自給自足を推し進めており、国産の人工知能半導体企業への投資家の期待が株価を押し上げている。 個人投資家向けの申し込みは募集株数の6109倍に達していた。調達資金は第5世代と第6世代の人工知能半導体の開発に充てる計画だ。

アブダビの政府系ファンドMubadala Investment Companyは、中国のコーヒーチェーン大手Luckin Coffeeに少数株主として出資すると発表した。筆頭株主のCenturium Capitalと組む取引で、規模は約10億ドル。中国のいれたてコーヒー市場の成長性を評価した。 アメリカ証券取引委員会(SEC)への提出書類によると、MubadalaとCenturium関連の事業体は、転換後ベースでLuckin Coffee株の約22.1%を共同で保有すると報告する。Mubadala側は持ち分が5%以上になれば取締役1人を指名する権利を得る。 Luckin Coffeeは6月末時点で世界に3万6000店超を展開し、累計の取引顧客数は5億人に迫る。4月から6月期の売上高は前年同期比約29%増の約159億人民元だった。中東マネーによる中国消費関連企業への投資拡大を映す案件だ。

人工知能によるコード生成を手がけるアメリカのCognitionが、シリーズEで20億ドルを超える資金を調達した。調達後の企業価値評価は480億ドルとなり、5月に10億ドルを調達した際の260億ドルから4カ月足らずで約2倍に膨らんだ。 今回のラウンドは新規投資家のAndreessen HorowitzとAccelが主導し、既存投資家のFounders Fund、General Catalyst、Avenirが参加した。このほかBenchmark、Bessemer、Kleiner Perkins、Greylock、Lightspeed、Altimeterなども名を連ねている。ランレートベースの売上高は5月時点の4億9200万ドルから約9億ドルへと拡大した。 主力製品は自律型のソフトウェアエンジニアリングエージェント「Devin」で、NVIDIAのチップ設計、GE Aerospaceの航空分野、Citiの金融サービス、Mercedes-Benzの自動車開発などで利用されている。評価額はランレート売上高の約53倍に相当し、前回ラウンドと同水準の倍率が維持された。開発工程の自動化に資金が集中する流れが続いている。

フランスの人工知能企業Mistral AIは9月8日、30億ユーロ、約35億ドルの資金調達を完了したと発表した。調達後の企業評価額は210億ユーロ、約240億ドルを超える。欧州の非上場テクノロジー企業による株式調達としては過去最大規模となり、1年前の前回調達時の117億ユーロからほぼ倍増した。 今回のラウンドはサムスン電子が主導し、欧州連合が支援するスケールアップ・ヨーロッパ・ファンドと既存投資家のPSG Equityが共同で主導した。サムスン電子とスケールアップ・ヨーロッパ・ファンドはいずれも初参加となる。既存株主のASML、NVIDIA、アンドリーセン・ホロウィッツも再び出資し、BlackRockが運用するファンドとAdventも新たに加わった。 調達資金は計算基盤の増強と自社データセンターの建設、研究開発の拡大に充てられる。同社は米国の大手クラウド事業者に対する欧州の選択肢として、モデルの重みを公開する方針を維持しながら、企業ごとの用途に合わせた人工知能ツールの共同開発を進める戦略を取る。経営陣は年間経常収益が今年中に10億ドルを超えるとの見通しを示している。

オーストラリアの不動産会社Ingenia Communities Groupは9月7日、プライベート・エクイティ大手Warburg Pincusから受けた買収提案を拒否したと発表した。提案は全証券を1証券あたり4.75オーストラリアドルの現金で取得する内容で、会社全体の評価額は約19億オーストラリアドル、およそ14億ドルに相当する。 Ingenia Communities Groupの取締役会は、提案が事業価値を大幅に過小評価していると判断した。提案は資産査定や規制当局の承認、取締役会の全会一致の推薦を条件としており、さらにIngenia Communities Groupが進めるPeetの買収を取りやめることも求めていた。実施前に分配金が支払われた場合は提示価格が減額される仕組みだった。 Ingenia Communities Groupは、Peetの買収が将来の成長を支える開発案件の供給源になるとして戦略上重要だと説明し、既存の成長戦略を継続する方針を示した。財務アドバイザーにUBSとDenison Partners、法務アドバイザーにGilbert + Tobinを起用している。土地賃貸型住宅の分野では過去最大級の案件になるだけに、対抗提案が出るかどうかが焦点となる。

人工知能の処理を複数種類の半導体に振り分けるソフトウエアを手掛けるGimlet Labsが、新たに3億ドルを調達し、企業価値評価額が30億ドルに達した。今回の資金調達はAndreessen Horowitzが主導し、新規の出資者としてArm HoldingsとMicrosoftのベンチャー投資部門であるM12が加わった。 同社の最高経営責任者ザイン・アスガーがインタビューで明らかにした。Gimletは、生成系や推論系の処理を複数段階に分けて実行する基盤を提供し、異なる種類の演算装置へ動的に割り当てることで性能と電力効率を高める設計を採る。特定の演算装置に依存しない構成を前提としている点が特徴となる。 同社はArmと協業し、自社ソフトウエアを同社の各種チップ技術に対応させる作業を進めている。人工知能向け半導体の供給が逼迫し、データセンターの電力制約も強まるなか、既存の計算資源をいかに効率よく使い切るかという領域に投資が向かっている構図を示す事例となった。半導体設計とクラウド基盤の双方から出資を集めた点も、この分野の競争が単一の演算装置に閉じないことを裏付けている。

韓国のサムスングループ系保険2社が、ロンドンを拠点とする特殊保険会社Canopiusの追加取得に動く。Korea Economic Dailyが3日報じた内容をReutersが伝えた。サムスン火災海上保険とサムスン生命保険が新たに50%分を取得する見通しで、金額は2兆ウォン超、約14億7000万ドルにのぼるという。両社は現在40%を保有しており、取得が実現すれば支配権を握ることになる。 売却側にはアメリカの資産運用会社Centerbridge Partnersを含む主要株主が並ぶ。取得資金はサムスン電子からの配当で賄う計画とされる。サムスン電子は4〜6月期に過去最高の営業利益を計上しており、両保険会社は世界最大の半導体メモリー企業の主要株主として、その恩恵を海外展開の原資に振り向ける構図となる。 Canopiusはロイズ市場で事業を展開する特殊保険会社で、テロ、誘拐、戦争、美術品といった通常の保険では引き受けが難しいリスクを扱う。韓国の保険市場が成熟し国内での成長余地が限られるなか、大手各社は海外の特殊保険分野へ活路を求めてきた。サムスン火災海上保険はCanopius株から今年上半期に1685億ウォンの利益を得ており、前年同期比で247.6%増加した。国内市場の飽和に直面する日本の金融機関にとっても、参考になる資本配分の事例といえる。

衣料通販大手のSheinが9月1日、ホンコン証券取引所に上場した。株価は公開価格と同じ48香港ドル56セントで取引を開始したものの、その後43香港ドル80セントまで下落し、約10%安となった。長年にわたる上場計画がようやく実現した初日としては、厳しい滑り出しとなった。 新規株式公開による調達額は17億ドル、上場時の時価総額は265億ドルだった。2022年のピーク時に付けられた1000億ドル近い評価額を大幅に下回る水準である。売り出し規模は拡大後株式の約6.6%にとどまり、そのうち約5分の1をコーナーストーン投資家が引き受けて6カ月間のロックアップが課されるため、実際に自由に売買できる株式は5%程度にすぎない。上場前日のグレーマーケットでも公開価格を10%以上割り込んでいた。 不振の背景には事業モデルそのものへの疑念がある。アメリカが少額輸入品の免税制度を撤廃し、ヨーロッパも低価格の電子商取引貨物への規制を強めたことで、極端な低コストと直送を組み合わせた収益構造が損なわれた。売上高の伸びは2023年の41.1%から2025年には8%へ鈍化し、2026年1月から3月期は1.1%増にとどまった。投資家が成長株としての前提を見直していることを示す事例である。

核融合エネルギーの新興企業である京都フュージョニアリングが、シリーズDラウンドで韓国の産業大手から出資を受けた。ラウンドを主導したのは韓国系運用会社アイエムエム・インベストメント・ジャパンで、韓国資本と日本のディープテック企業を結ぶために設立された越境ファンドを通じて実行された。同社が9月1日に明らかにした。 戦略投資家として名を連ねたのは、ポスコホールディングス、ポスコインターナショナル、ドゥサン、ヒョンデ自動車、ジーエス建設の5社である。財務投資家としてオクタゴン・ベンチャー・パートナーズが参加したほか、日本の地方銀行や事業会社も加わった。京都フュージョニアリングは調達資金を実証設備の建設と改良、研究開発および製造能力の強化に充てる。プラズマ加熱に用いる高出力マイクロ波装置ジャイロトロンの開発も対象となる。 アイエムエム・インベストメント・ジャパンは、独自技術とグローバルな事業基盤、成長余地を評価して主導出資を決めたと説明した。今後は親会社の投資ノウハウと韓国の産業・資本ネットワークを組み合わせ、半導体、先端製造、エネルギーに加え、知的財産やコンテンツ領域でも日本企業への投資を拡大する方針である。日本のディープテックが韓国の重厚長大産業から資本と量産能力を調達する構図は、資本政策の選択肢が広がっていることを示す。

保険仲介大手のAonが、KKRの傘下にある保険仲介会社USI Insurance Servicesを負債を含めて約170億ドルで買収する方向で最終調整に入った。WSJが8月30日に関係者の話として伝えた。交渉がまとまれば31日にも発表される可能性があるとしている。 KKRはカナダの投資会社Onexから2017年に負債を含めて43億ドルでUSIを取得し、その後10億ドルを超える追加投資を実施して2023年に筆頭株主となった。売却が成立すれば、データセンター冷却事業のCoolITや航空宇宙部門の売却に続く大型の資金回収となる。 時価総額約750億ドルのAonにとって、USIの買収は中堅企業向けの顧客基盤を広げる狙いがある。WSJによれば、早ければ2028年に1株当たり利益を押し上げる効果が見込まれる。Aonの株価は8月28日の終値が355.40ドルだった。
Anthropicが人工知能向け半導体の新興企業MatXを約70億ドルで買収する構想を検討し、その後見送っていたことが分かった。Reutersが関係者2人の話として伝えた。協議は現在、買収ではなく提携の話し合いへ移行しているという。自社向けチップの開発を加速させ、計算基盤の主導権を握ろうとする狙いがある。 MatXはGoogleでテンソル・プロセッシング・ユニットを手がけた技術者らが創業した企業で、現在は約40億ドルの評価額で新たな資金調達を模索している。Anthropicは自社設計チップのチームを拡大しており、Claudeの各モデルをより高速かつ効率的に動かすことを目指す。NVIDIAやGoogleなど複数の供給元を併用する方針は維持する構えだ。 Anthropicは今週、Googleで半導体開発に長く携わったアミール・サレクを採用し、6月にはOpenAI出身のチップ技術者クライブ・チャンを迎えている。半導体の自社設計は1世代あたり数億ドル規模の開発費と年単位の期間を要するため、買収による時間短縮が選択肢として浮上したとみられる。人工知能大手が計算基盤の垂直統合を急ぐ流れは、半導体業界の勢力図を中期的に変える可能性がある。
人工知能開発のAnthropicが、アメリカのレーバーデー明けに新規株式公開の目論見書を公開する方向で準備を進めていると、アメリカのメディアThe Informationが関係者の話として報じた。上場は9月下旬から10月初旬になる可能性がある。Anthropicは今年に入ってから非公開で上場を申請しており、OpenAIとの上場競争が意識されている。 報道によると、Anthropicは上場に際して既存株主による株式の売り出しを認めることを検討しており、通常180日とされるロックアップ期間をさらに長く設定する案も浮上している。既存株主の売り出しを組み込めば、今年上場したSpaceXやCerebrasとは異なる設計となる。売り出しの規模とロックアップの条件は、上場後の需給を左右する重要な変数となる。 SpaceXは今月に入って最初のロックアップが解除され、市場で流通する株式が2倍以上に増えた。2027年半ばまでにさらに129億株が段階的に解除される日程となっており、需給への影響が意識されている。人工知能企業に対する投資家の需要は依然として強く、大型上場の連続が資本市場全体の資金配分に与える影響を見極める必要がある。

NVIDIAが、オープンソースの人工知能モデルを公開・共有する基盤を運営するHugging Faceを129億ドルで買収することで合意したと、The Informationが8月26日に報じた。実現すればNVIDIAにとって過去最大級の買収案件となる。関係者1人の話としており、正式発表はされていない。 Hugging Faceはニューヨークに拠点を置き、大規模言語モデルやデータセットを共有する場として世界の開発者に広く使われている。NVIDIAは2023年、SalesforceやAlphabet傘下のGoogleとともに同社の2億3500万ドルの資金調達に参加しており、当時の企業価値は45億ドルだった。Financial Timesは今年1月、Hugging FaceがNVIDIAによる70億ドル評価での5億ドル出資提案を断っていたと伝えている。 The Informationによると、Hugging Faceの年換算売上高は1億5000万ドル程度で、買収額とは大きな開きがある。AnthropicやOpenAIといった非公開モデルの開発企業が独自チップの開発に動くなか、オープンモデルの流通拠点を押さえることで自社の半導体を中心とした生態系を守る狙いがあるとみられる。
SoftBank Groupが、OpenAIの出資先であるヒト型ロボット開発企業1X Technologiesの過半数株式取得に向けて交渉していると、アメリカのメディアThe Informationが8月26日に報じた。関係者の話として伝えたもので、企業価値は約60億ドルと評価される見通しだという。 交渉は継続中で条件は変わる可能性があるとされる。1X Technologiesはノルウェー発祥で、2023年にOpenAIのスタートアップ向けファンドがTiger Globalやノルウェーの投資家とともに出資した。OpenAI自身も昨年、1X Technologiesを買収する可能性を協議していたと報じられている。 SoftBank Groupはロボット分野への傾斜を強めており、昨年にはスイスの重電大手ABBのロボット事業を54億ドルで取得することで合意していた。人工知能の実装先を情報処理から物理世界へ広げる動きの一環とみられる。ReutersはThe Informationの報道内容を独自には確認できていないとしている。

韓国の人工知能サービス企業リートンテクノロジーズは8月26日、シリーズCラウンドで約1000億ウォンを調達したと発表した。今回のラウンドで企業価値は1兆ウォンを超え、大規模言語モデル開発企業や半導体企業を除く韓国の人工知能サービス系スタートアップとしては初めて1兆ウォンの大台に乗った。 新規投資家としてコアラインベンチャーズとユジンアセットマネジメントが参加し、既存投資家のグッドウォーターキャピタル、ウリベンチャーパートナーズ、韓国産業銀行なども引き受けた。累計調達額は2300億ウォンとなる。5月に北米で提供を開始した人工知能エンターテインメント基盤サービスは、3カ月で月間売上高100億ウォンを突破した。 同社の今年の売上高は2000億ウォンを超える見通しで、昨年の471億ウォンから4倍以上に拡大する。海外売上が国内売上を上回ったことも公表された。生成人工知能の収益化は法人向け契約が中心と見られてきたが、消費者向けサービスで急拡大した事例として、日本企業の海外展開モデルを考えるうえでも参考になる。

ファストファッション大手Sheinが8月24日、ホンコン証券取引所への新規株式公開を開始した。売り出しは2億8000万株、価格レンジは1株47.60〜49.50ホンコンドルで、調達額は最大138億6000万ホンコンドル(17億7000万ドル)となる。最終価格は8月31日に決まり、9月1日に取引を開始する。 レンジ上限での評価額は約270億ドル。2022年の資金調達時に付いた982億ドルから約70%縮小した。2023年と2024年の640億ドルも大きく下回る。コーナーストーン投資家にはBoyu、Tiger Global、General Atlanticが名を連ね、計約3億8300万ドルを引き受ける。 上期の売上高成長率は1〜3月期の1.1%並みにとどまる見通しで、営業利益率も低下する。ヨーロッパの新たな輸入課徴金、価格競争、イラン戦争に伴う中東需要の減退が重なった。アメリカが少額貨物の免税措置を撤廃した影響もあり、四半期ベースでは9900万ドルの赤字に転落している。

Alibabaのホンコン上場株が8月24日、一時10%安の110.10ホンコンドルまで下落した。総額800億ホンコンドル(102億ドル)の新株発行価格を1株112.70ホンコンドルに決めたためで、前週末終値に対して8.4%のディスカウントとなる。発行株数は7億1000万株で、ホンコン上場企業によるプライマリー・フォローオンとしては過去最大となった。 調達資金は全額、人工知能関連の基盤整備に投じる。ただ市場の反応は冷たい。前週発表した4〜6月期決算では、人工知能向け支出が重荷となり純利益が前年同期比75%減、設備投資は75%増の677億元に膨らんでいた。 既存株主の持ち分が希薄化することに加え、大型投資の回収時期を見極めきれないことが売りを誘った。3年間の設備投資計画のうち半分近くを既に消化しており、追加調達の必要性が意識されやすい局面にある。

OpenAIの最高財務責任者サラ・フライアが、19日に開かれた全社会議で、同社は2027年に株式を公開すると従業員に伝えた。事業が伸び続ければ、それより早い時期の上場もありうるとの見通しも示している。フライア最高財務責任者は、新規株式公開はゴールではなく通過点であり、資金調達手段の一つにすぎないと位置づけた。3月に1220億ドルを調達したことが、時期選択の柔軟性を生んでいるという。 OpenAIは6月に証券取引委員会へ目論見書を非公開で提出済みだが、上場時期は公表していない。競合のAnthropicも同様に非公開で提出を済ませ、投資家との事前協議を進めている。フライア最高財務責任者は、Anthropicが9月に先行して上場する可能性に触れつつ、自社は自社のペースで進めると従業員に説明した。 OpenAIは8520億ドルという評価額の妥当性を市場に示す必要があり、投資家は財務の詳細な開示を待っている。全社会議で示された資料によれば、当四半期の売上高の年換算値はこれまでのところ35%増、企業向けは50%増で、人工知能を使った開発・業務支援製品の週間利用者は2000万人に達した。人工知能大手2社の上場競争は、資本市場全体の需給を左右する規模に達しつつある。

SoftBankがスイスのチューリッヒに拠点を置くGravis Roboticsに2億ドルを出資した。単独出資によるシリーズAで、建設ロボティクス分野では過去最大規模となる。この調達によって同社の評価額は10億ドルに達した。2022年にチューリッヒ工科大学から分離独立した従業員約75人の企業で、共同創業者兼最高経営責任者はライアン・ルーク・ジョーンズが務める。 主力製品「Gravis Rack」は、センサーと計算機、ソフトウェアを組み合わせた後付けキットである。建設会社が保有機械を入れ替えることなく自律化できる点が特徴で、Caterpillar、John Deere、Volvo、JCB、日立、住友、ヤンマーなど十数の主要ブランドの機械に装着実績がある。掘削や積み込み、土砂の管理を無人で行い、最大30パーセントの生産性向上を主張する。この数値は同社自身の導入実績に基づくもので、第三者による検証は受けていない。 SoftBankは2025年10月にABBのロボティクス事業を53億7500万ドルで買収し、この夏にはBoston Dynamics株の売却を完了した。話題性の高い実証企業から、既に現場に据え付けられた産業機械の基盤へと軸足を移した形である。後付け型の自律化が実証段階を超えて量産に耐えるか、建設機械メーカー自身が開発する自律技術と競えるかが今後の焦点となる。

決済大手のStripeが、人工知能モデルの切り替えを支援する新興企業OpenRouterを70億ドル超で買収することで合意した。Bloombergが8月17日、関係者の話として報じた。最終的な買収額は変動する可能性があるという。Stripeは憶測や噂にはコメントしないとしており、正式発表は出ていない。 OpenRouterは400種類を超える人工知能モデルへの単一の接続口を提供し、用途と予算に応じて最も効率的で低コストな選択肢を開発者に割り当てる。同社によると利用者は世界で800万人にのぼる。5月には1億1300万ドルのシリーズBを実施し、その時点の評価額は13億ドルとされていた。わずか3カ月で5倍を超える価格がついた計算になる。出資者にはSequoia、Andreessen Horowitz、Menlo Ventures、Alphabet傘下のCapital Gが名を連ねる。 買収が成立すれば、Stripeにとって人工知能インフラへの最大の賭けとなる。企業が特定のモデル提供者に縛られずコストを最適化したいという需要の強さを裏づける取引でもある。両社の交渉はWall Street Journalが7月に先行して報じていた。決済網を握る企業が、モデル利用の課金と経路制御という新たな階層を押さえに動いた形である。
